サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

Windows95初期になぜWindowsパソコンを買ったのか?補足

前回書いた記事の補足をちょっと書こうと思う。

というのも、Windows95初期にWindowsパソコンを買ったというが、実はこれには少し事情があり、タイミング的には実は95年ではなかったというのが正しい。

これについて当時の状況を含めて細かく話してみようと思う。

さて、Windows95の出たばかりのころであるが、この頃は結構厳しい状況でもあった。なにせ、Windows95の必須メモリは当時では最低で6MB程度と言われていたが、実際は16MBないとまずまともに動かない。もちろん当時持っていた9821Ap2では力不足でメモリも足らないので、とりあえず買ったのはいいものの結局使わずに置いていた。

そんななか96年に入り、どんどんWindows95パソコンが出てくるのであるが、ここでようやく軌道に乗ってくる。というのも、Windows95をインストールしたパソコンが徐々に出てきてこれは当然なのだが、当時はCPUも486からPentiumへの移行期。またパソコン本体も春夏秋冬と3ヶ月おきにマイナーチェンジ版が出てくるというもはや異常事態。当然Windows95以前に出たパソコンなんて瞬殺で消えていくのだが、ちょうど96年半ば前ぐらいの秋葉原に妙な店舗が増え始める。こういった店舗は秋葉原のような特殊地域限定と言っていいのだが、要は型落ちのパソコンを安く仕入れてきて叩き売る店舗である。今で言えばバスケコートのの向かい側にある建物(今は商業ビルだと思う)の期間限定テナント、あと千石電商とかあのへんの通りに突然オープンしたりという感じであり、要は型落ちパソコン専門店というものだ。型落ちとはいえ中古や新古ではなく、完全な新品。要は型落ちで売れなくなったパソコンを買い叩いて売るわけだ。

当時のパソコンの売れ筋スペックは簡単に言えばこんな感じ。

PC-9821 Cu10(Pentium100Mhz・Simm16MB・HDD1.2GB)

PC-9821 V12(Pentium120Mhz・Simm16MB・HDD850MB)

このスペックでモニター付きで大体18~23万ぐらい。データは9821で持ってきてるけど、他のAT互換機もほぼほぼ同じスペックで同じ値段と思ってくれればいいと思う。これら機種が96年春先に売られていたのだが、ここでポイントはスペック。Pentium系へのシフトがほぼ終わった状態でWindows95もプリインストールされていることとメモリーも16MB搭載ということで大体使うだけなら問題ない仕様になっていた。

さて、ここで登場するのは例の型落ちパソコン専門店である。これら店舗は最新機種ではなく型落ち機種を専門としている。当然扱うパソコンも少し古いものになる。ここで登場するのが古い9821系である。当然であるがAT互換機の型落ち機種も多数に渡って出てきていて、ちょうど夏ごろに一つ前の春モデルを安価で売る感じで、ほぼ同じスペック(大体CPUとHDDが少しだけ違う傾向があった)が、新モデルよりも2~3割安価で扱っていて、新モデルが25万前後していた時に旧モデルは20万を切ったりしていた。もちろんスペックはほぼ同じで正直差はないと言っていい。こういった店がぼちぼち出てきていた。

ただ、困ったことにすでにパソコンを持っている側からすればモニター付きのモニターが邪魔なだけで値段がどうしても無駄にかかることでもあった。

そんな中急激に値段がぶれてきていたのがNECの9821シリーズ。Windows95が出た直後の9821シリーズはとにかく迷走していた。Mate-Xシリーズで進んでいたものの、アプリの同梱が少ない問題とCanBeシリーズが好調なこともあって、そんな中アプリを導入しモニター添付のValueStarシリーズを出すことになる。ここで困ったのが95年のWindows95の出る前ちょうど95年5月に発売したXa7・9・10の初期Xa三兄弟シリーズである。なにせこいつらはモニターレスモデルでモニターが最初からない。しかも特に当時最高スペックでもあったXa10/C12に至ってはモニター無しなのに35万以上というなかなか狂った価格であったのだが、一年近くたつとよほど仕入れた店が多かったのか在庫がだぶついていたのだろう。秋葉原のこういった型落ち専門店に流れてくることになる。それだけなら良かったのだが、この当時の最高スペックのXa10/C12はよりにもよって10万切り…。こんなの定価で買った人なら大激怒だっただろうが、自分は最初この価格を見た時に目を疑った。「え?マジ?」って感じで。その一週間後にはAp2売り飛ばして買ってたわけだ。ちなみに同時期にあったXa10/K12は普通に普通の値段だった。

大体この時期にパソコンを買い替えた人は多いと思う。特に98を持っていた人間は少なからず型落ちでありながら、発売当時の最高スペックを買い叩いて買っていた。もちろん今の最新スペックに比べれば弱いが、そんなの微々たるものだった。ここからメモリーを追加等してWindows95環境を作っていっていた。

こんな感じでWindows95パソコンを買っていったのだが、ここで気になるのはちょうどこの時期からインターネットに本格的につなげていく。なにせメモリーが一年前は16MBx2=32MBで15,000円していたのが、32MBx2=64MBでも14000円程度で買えるようになっていたからで、最初からついていたメモリーを加えると80MBでになり、問題なくWindows95が動くようになるからだ。ちょうどタイミング的に96年半ばぐらいから本格的に始動し、インターネットの世界に飛び込むわけである。この時期はインターネットと言うあらたなおもちゃが手に入ったことになり、パソコンはそこを中心に動き出していく。ただ、まだまだゲーム環境という意味では心もとないため、MS-DOS系の9801系ゲームでも同時に楽しめるようにはしておく感じ。

その後ゲームは増えない時期が続くものの、97年半ばすぎからいよいよWindows対応ゲームエミュレータが登場してくる。Nesticle95でファミコンがいよいよ登場。その後98年になるとCallus95のWindows化、Snes9XやfMSXが同時にWindows化していく。ただ、この時期になるとPC-9821では限界がやってきていて、結局AT互換機へとシフトしていく。PC-DOSベースのエミュレータの時代が少し長かったためPC-9821では動かないし、なにより足回りがあまりにも貧弱なこともあった。

という感じである。Windows95と言っても日本語版が出たのは95年末。実質96年頭のようなもの。さらに96年中にアウトレットパソコンブームが起こり、そこである程度知識のあるパソコンユーザーは少し型落ちのWindows95パソコンを購入し、その上でインターネット等を使っていき、ある意味ネットの基礎知識?的なものを身につける。当時はWindows95と言ってもまだまだ使い勝手というよりも使いみちが少なく、それもあってPC-9821ではMOでブートさせてMS-DOSゲームもプレイしつつ使っていく。その後97年に突入し、PC-DOSエミュレータが出てくるタイミングでAT互換機にシフト。そこからPC-DOSでのエミュレータを使いつつ、Windows化が始まった次点で一気にシフトしていった感じ。97年半ばにはほぼ完了していたというイメージ。

また、この97年から98年にかけては他にも転換点になった出来事がある。多分この転換期に9821シリーズから一気に切り替えたユーザーも多いだろう。一足飛びにパソコンを進化させたのはご存知CD-Rドライブ。これに関しては過去書いた記事もあるが、PSやSSの普及もあった。そしてちょうどこの頃にCD-Rドライブの価格が急激に下がっていく。普通に10万近くしていたドライブがあれよあれよという間に2~3万まで激落ちしていく。これもまたWindowsの普及に拍車をかけたのは言うまでもなかろう。

その後Windows98が出たのが7月であったが、その頃にはほとんど環境は移行していた。もはや周りのパワーユーザーの大半はCD-Rドライブを所持しており、エミュレータ関係もほぼ完了。Windows98が出ても少し様子見をして最終的には年内にバージョンアップする感じ。もはやこのWindows98が出たときはもう移行は終わっていたのだ。 

だいたい当時の流れはこんな感じだったと思う。最初は9821系のWindows95Windowsに慣れ、そこからインターネットへ入る。その後CD-RドライブやエミュレータPC-DOS系)の普及でAT互換機に移行。CPUもソレに伴いパワーアップ。最終的にはWindows98が出る前にWindows系のゲームエミュレータも増えてきて十二分な環境になっていたわけだ。Windows95と言っても実質96年に発売したに等しく、Windows98が出るまではだいたい二年半。最初の一年で環境整備とインターネットへの接続。次の一年でエミュレータ関係の整備と同時にAT互換機への移行。最後の半年でCD-Rドライブの装着。当時の流れはこんな感じだった。

もちろん、こんなデタラメな流れはゲームをしたいだけの自分たちの周りだけの裏歴史みたいなものであるが、Windows95というOSで何が出来るか?ではなく何をするかという考えで自ら進んでいったやり方の一つでもあるがこの流れに乗った人は多いと思う。なにせパソコン=ゲーム機という発想ので買った人なら皆がこういう発想になるのはある意味当然だと思うからだ。

ちなみにWindows98以降は以前書いたような流れになるので割愛。ここからは周辺機器の急激な価格変動が発生しCD-Rドライブはさらに安価に、PCパーツはPentiumIIへと移行し、エミュレータの世界も加速度的に変わっていく。もちろんWindows98からスタートしていたらここまで苦労はしていないだろう。なにせこの時期になれば日本語の情報サイトも増えてきていて苦もなく情報が入手できるようになっていたからだ。ただ、あのまだなにも知らない時に入手して人より先に楽しめたのは本当に面白かった。結局誰も知らないものを発見して自分で進んでいくことの楽しみを結果的に味わえたことが一番のおもしろさだったのかもしれない。きっとWindows95パソコンを初期に買ってしまってそれでもなんとかして使い倒そうとして思いついた苦肉の策だったのであろう。少なからずこういった楽しみ方を模索することが楽しみで買ったのも理由の一つなのかもしれない。ある意味マゾですね。