サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

レトロPCを今から買おうと言う酔狂な方々へ① 98シリーズ編

今、この時代だからこそレトロPCを買いたいと言う人は少なからずいると思う。

なにせ、当時は普通に購入しても15~30万以上したようなパソコンがほぼ大半。親が仕事の関係で持っていたならまだしも、高値の花だったあの時代からすれば今なら安く購入もできると思うのも当然。

ただ、さすがに骨董品レベルのものが大半。そもそも20年以上前のものが多いので、正直動くかどうかのレベルになってきててなかなか買えないのもまた事実。

そんな中、レトロPCゲームをコンスタントに出してくれているのがプロジェクトEGG。もう10年ぐらいになると思うけど、このサービスが始まったときは「ようやくこういう世界がやってきたか~」と思ったもの。当時はまだ8801等のゲームがホソボソとあったんだけど、今や98系からX68K、Towns等、ほぼ当時の8bit系~16bit系のパソコンゲームは抑えてくれているので、当時できなかった人ややりたかったのにやれなかったひとには非常に楽しめるサービスだと思う。

もちろん、実機がいい!と言う酔狂な方々もいると思う。そういう人はヤフオクで探すしか無い。

特に98系は比較的直近(とは言え10年以上前だが)まであったことや、個体数が多いのでヤフオクでもジャンク含めれば相当数が有る。当然電源周り等の劣化は仕方がないのだけど、その辺の自己責任を含めても一番買いやすい機種だと思う。

まずは本体から。98は非常に本体が多いので選びにくいというのも有るが、抑えるところを抑えてしまえばさほど難しくない。まず、Pentium系を採用したMate-X以降のシリーズ(ValueStar、Canbe等)はすべて排除。この系列の98シリーズはWindows95を動かすためのシステムに最適化されているので、DOSゲームをメインで楽しみたい人には必要が無い。まあ、一部シミュレーションゲームはCPUの速度準拠なので超加速で動いてくれるが(A4とか本当にすごかった)、だが正直そこまで加速しなくても十分。

で、MS-DOS系のゲームをとなると選択肢は以下の機種

A-Mate(Ap、As、Ae、Ap2、As2、Ap3、As2)

9821Multi(Ce、Ce2、Cs2)

この中で、CeとAp、As、Aeは初期型のマウスコネクタを使っているため、ちょっと入手困難と言ういみで省いたほうがいいと思うが、概ねこれらを選べばほぼ問題ない。ただしFDD3.5インチモデル限定。5インチのFDDはもはやメディアが全く売られてなく、買ったところで確実に詰んでしまう。

このシリーズはMS-DOSに最適化された86音源を標準搭載しており、またそれに準じたPCM音源も搭載されているため、非常にMS-DOSゲームと相性が良い。また、時期にもよるがオークションでも¥1,000~¥5,000程度で取引されており、安価で入手できる可能性も高い。また、スイッチ切り替えで画像描写モードを31Khzにできるため、現行液晶モニターでも使用可能と言うのも大きい。1920x1200の解像度モニターを用意すれば実にドットバイドットでの純3倍拡大表示ができるというのも大きい。またキーボードとマウスもヤフオクで特に問題はないはず。程度さえ気にしなければそこまで値段も高くないのでまだまだ楽に入手できると言ってもいい。

次にSCSIカードとMO、MS-DOS5.0A以降の3種類。この中ではMS-DOSが少し厳しい…。正直なかなか手に入らないのが痛い。SCSIカードは500円程度からあるし、MOドライブも非常に安く買える。メディアも特に高くないので5枚もあれば十分だと思う。さすがに外付けドライブが無いといくらMS-DOS時代とは言え、後期のゲームはほぼ大半がHDDインストール対応だったことを考えても買っておいたほうが確実に良い。

ただ、ゲームをやりたいというのは別の意味で敷居が上がってくる。98時代は5インチでのFDDゲームが多かったため、仮に中古があったとしても5インチが非常に多い。また、数はたしかに多かったが、もはや今になると手に入れることすら困難。その上5インチと3.5インチの混在する状態だった当時の98シリーズのゲームはそこもチェックがいる。

自分がその昔ブライ上巻を買ったときは、外付け5インチドライブを持っていたので5インチ仕様のものをバックアップして3.5インチにコンバートして使ったこともあった。当時はバックアップツールとか言う明らかにコピーツールが平然と売られていた時代で、そういうのが簡単にできたのだが、さすがにそんなソフト今の世の中手に入れることも無茶レベル。

というわけで、結局ゲームをやるとなると割り切っていくしかなく、先に話したプロジェクトEGGに手を出すか、あとは限りなくブラックに近いグレーゾーンのサイトにつなぐしか無い。そういうところからイメージファイルを探してきてと言う話になるのだが、こうなると今度はエミュレータでいいんじゃないか?と言う話にもなってくる。ただ、98のエミュレータは一通り使ってみたんだけど、どうも実機に比べると微妙な違和感があって、正直実機を触るとやりにくいな…というのが大半だった。

というわけで、本当にどうしようもない場合は、このグレーゾーンサイトからどーにかするという感じになる。たが、困ったことに98は非常に面倒な機種で、1から始めようとするとくっそきつい。MS-DOSのインストからスタートして、WDやらFDやらをインストールするところがほぼベースになるんだけど、Configの設定やらなにやらやってると当時の知識がない人にはお手上げになってしまう。あとWDはコンベンショナルメモリをちょいと使ってしまうので、一部ゲームがMOやらから直接起動できなくなるとかそういうのもある。

MS-DOSのインストールはある程度知識があればできるし、正直グレーゾーンのサイトにいけば普通に手に入るので、そういった場合を想定すると、結局はAT互換機用FDDドライブがあったほうが良いということになる。と言うのも、いくらなんでも何もない状態からシステムをインストールするのはほぼ不可能で、最初の一歩でMS-DOSのインストールをするにしても98側はFDD起動からでないと無理だからだ。自分みたいに過去98を使っていて、MO等のメディアにその環境を残したまま引退したような人からすればそのまま引き継いで使えるが、そうでもない1から始めようと思ったら、さすがにFDDが無いと始まらない。また、MS-DOSに関してはコピープロテクトもなかったはずなので、純粋にファイラーからデータを読み出してダイレクトコピーするだけで使用できるはずだ。

その辺の設定の厳しさを切り抜け、MS-DOS環境をMO等で作り上げたらようやくゲーム。ゲームはFDDベースで起動する場合はソフト(Mahalito)を使ってイメージをFDDへ戻すことになる。つまりこうなる。

FDDゲームイメージ → FDDへ書き戻し

ただこれをやるのに一度入手したイメージを98の外部ディスクに移さないといけないと言うまた厄介な作業がある。ここで役に立つのが例のMOで、98とWindowsでの230MB-MOのフォーマットは共通なのもあり、前もってWindows用のUSB-MOあたりを買っておけばこういう感じでFDDへ書き戻す形になる。

98環境を作ったMOを用意する → WindowsPCへUSB-MOドライブ経由で接続する → FDDイメージをコピーする → 98でMOを起動する → FDDへ書き戻す(Mahalito)

非常に厄介だが、これで問題なくFDDベースへ戻せる。なのでFDD起動のゲームの大半はこれでほぼ問題なく解決できるし、慣れれば結構楽に何枚も作成できる。

次にHDDインストールタイプのゲームになるんだけど、これに関しては同じようにMOを使ってやるんだけど、インストールするというシステム上いちいちFDDに書き戻すのではなく、エミュレータ上でインストールしてインストールしたデータをそのままMOにコピーしてしまえば動くようになる。つまりこういう感じ。

98エミュでゲームをインストールする → エミュで使っているHDDイメージをDislExplorerを使って中身を見る → 98環境を整えたMOにダイレクトにフォルダ(ディレクトリ)毎コピーする

これが出来れば、いちいち書き戻すと言う時間のかかる作業とインストール時にFDDからのインストールと言う時間のかかる処理をスルーできる。正直エミュレータ上でのHDDインストールは無茶苦茶速い。ほんと一瞬で終わるので、HDDインストールタイプのゲームはこうやったほうが断然効率が良い。

そんなこんなでようやく終了するのだが、正直これは当時の経験者向けだと思う。今時実機で起動するなんて酔狂なことをするぐらいなら、エミュレータで動かしたほうが気軽だし、ゲーム目的であればプロジェクトEGGの方が楽である。こんなことするのは当時の実機を持っていた人が実機の挙動でないと納得できないと言う人向けで、そんな経験のないただ欲しかったゲームをやってみたいと言う人はやらないほうがいいと思う。この苦労を楽しめるようじゃないととてもじゃないと無理だと思いますわ。