サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

Windows95時代の自作PC事情:PC自作派 Vol.1より

昔持っていたPC自作派(書籍)を紹介しながら、Windows95時代からXP時代までにかけての自作PC界隈を振り返ってみようと思う。

まずは記念すべき第一号から抜粋。発売は1997年1月、Vol.1より。

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PC自作派:Vol.1 表紙より

↓ちなみに、この巻の特集はこんな感じ

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巻頭トピックスとして当時MACの互換機が出るみたいな噂がでていて、これの特集からスタートしていた。結局MAC互換機は出ないで独自路線のまま進むことになるんだけど、もしここで互換機を出すことにゴーサインが出ていたらiphoneはもしかしたらなかったのかもしれない。そもそも、MACユーザーは今以上に鎖国的な感じのユーザーが多かったのでたとえ互換機が出たところでまず純正以外は売れなかったと思う。NECの98に対するEPSON-PCよりも厳しかったんじゃないかなと。

最初の特集は現状把握と今後の傾向という意味で、CPUとマザーボードの特集をチョイス。当時はPentium時代でMMXがようやく出てくるのかな?といった状況で、数ヶ月単位で値段が変化してくるということのおさらいのようなもの。当時のCPUは加速度的に進化しており、今のように一年に一回のバージョンアップと言う感じではなかったため、数ヶ月単位で値段が変わってしまう世界だったのである。

その後はマザーボードの紹介。そもそも自作PCというのがまだ全く一般的でなかったので、メーカーその他も今と比べて知らないメーカーばかり。チップセットと言う概念からまず勉強していく必要もあった。また、自作PCがコア層にのみようやく広がっていった時代でもあったため、全く知識がない状態でのスタートだったためか、かなり詳しく紹介している。もちろん、ある程度の基本知識がなければ全く理解はできないのだが、それでも自作PCの道を進むユーザーはこういった少ない情報から頑張っていっていたのだ。また、ATX電源が出たばかりなこともあって、こういった説明も少なからず紹介している。

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特集より、一部抜粋

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特集より、一部抜粋

巻頭の特集が終わるといよいよ自作PC紹介になる。まだまだ自作PCがスタンダードでないため、編集側である程度コンセプトに則って自作する感じで進んでいく。初回のVol.1では

・安定重視のスタンダードパソコン

・10万円低価格パソコン

・少し尖った個性的なパソコン

・バリバリの高スペックパソコン

といった感じで作成例を紹介してくれている。10万円パソコンというのは、この時代のWindowsパソコンはまだ10万円という値段では購入するにはまだまだ値段的に厳しく、ギリギリのラインでの作成を余儀なくされていた。この○○円パソコンというのは、PC自作派の方向性として今後もちょくちょく登場してくることになる。

初回の今回は第一回ということもあり、組み立て方法から結構詳しく説明してくれている。自分もこの雑誌をみて当時かなり学んだんだけど、こういった雑誌がなかった時代にこういった雑誌は非常に貴重であった。

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こんな感じで基本的な設置方法等を書いてくれている

また、当時のショップブランドパソコンの紹介も簡単にしている。これを見ると当時のパソコンがどんなものだったのかわかると思う。

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当時のショップブランドパソコンから。残念ながら今は亡きショップがほぼ大半であるが、当時のスペックと値段はこんなもの

また、3つめのパソコンは大阪日本橋を拠点として作成していて、東京秋葉原だけでなく、その他都市でも購入するなどしてその違いを出したりしている。これも当時としては珍しかったのではないかと思う。

作成したパソコンはそれぞれのスペック及び値段、ベンチマークを最終的にまとめていて、どんな感じになるかをしっかりまとめてくれている。

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こんな感じで自作したPCの詳細を書いてくれている。値段を見るとピンからキリまであるが、最後のNT君1号は当時でも凄まじい金額だった…

また、ページ途中にはまだ一般的でなかったこともあり、Windows95のインストール方法やちょっとしたトラブルシューティング的な特集もあり、まだまだ一般的でなかったためかこういった基本的なことを書いてたりもする。

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ページの途中途中にこういった感じで補足を入れてくれている

第一号は創刊号ということもあってこんな感じで終了。当時としては自作PCは珍しかったこともあり、何もかもが手探り状態での創刊であったのだろうと感じる。それでもこういったある程度パソコンをコンセプト別に組み立てるという専門誌がまだなかったこともあり、需要はそれなりにあったのではないかと思う。

ただ、このマイクロデザイン社は自作PC雑誌を出す前の1995年半ばにパソコン批評という雑誌を創刊しておりその流れだったのだろう。自分は当時この二紙を愛読していたがそういった人は他にもいたのではないかと思う。

このPC自作派この後2003年まで6年強の間発刊されることになる。当時のパソコンはメーカー品購入というイメージがまだまだ強く、そんな時代にどんな感じで自作市場は広がっていったのかをちょこっとだけ振り返ってみようと思う。