サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

Windows95時代の自作PC事情:PC自作派 Vol.3より

久しぶりの更新。今回はVol.3から。1997年ということでWindows98の噂がチラホラと聞かれ始めた、そんな時期になります。なお雑誌の号数は1997年7月号になります。

巻頭特集:ハードディスクの選択で自作パソコンの性能が変わる?

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今回の自作PC例も全部で4つ。10万円パソコンシリーズは不定期に出てくるが、パーツの値段が下がるにつれてスペックも飛躍的に伸びることになる。初期はK6-2あたりを使うことが多く安定性という意味では非常に厳しかったのである。

サイリックス&MilleniumII

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サイリックスと言ってピンと来る人がいればその人は相当の自作ユーザーになるだろう。なにせこの頃から結構なマニアックなメーカーであった。そんなサイリックスも当時はそれなりに知名度があった。とは言え、すでにPentiumIIもうっすら見えてきたことや、MMXPentiumは好調。AMDK6シリーズも悪くないということでかなりその存在は微妙なことになっていた。そんな中このM2も期待されていたのである。

同様にMilleniumIIも期待されていたグラフィックボードであった。こちらもベストセラーと言われていたMilleniumの後継として期待されていたのである。結論から言えば微妙な結果で終わってしまったが、今と違って多種なメーカーが群雄割拠で火花をちらしていたのである。

巻頭特集:ハードディスクの選択で自作パソコンの性能が変わる?

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ちょうどこの頃2GBの壁というものがあり、それを解消するためにHDDの規格の向上が行われる。IDE → E-IDEを進化してきたインターフェイスがさらに進化し、Ultra-ATAが出てくる。速度向上等や容量制限撤廃等もあったが、この主な狙いは容量向上が主で、速度の方はそこまで差はなかった。ただWindows95が出てからの技術の進歩は凄まじく、数年で規格が強化されたり変更されたりと進化のスピードは加速度的に進んでいっていた。またここではSCSI規格も紹介されているが、SCSI規格はこの先進化はするものの、最終的には消滅してしまう。やはり追加でカードが必要である以上お手軽さなどから普及率を上げるのは難しかったのだと思われる。

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こちら当時のHDDの販売メーカー。至極一般的で当時はメーカーもこれだけあったのだ。今やほぼほぼHDDの販売メーカーは数社しか無い。これだけみても時代の流れを感じ取れる。

PART-1 メディア王パソコン

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イマイチコンセプトが伝わりにくかった今回の特集1。とりあえず記事から覗いてみましょう。

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どうやら外部メディアをめいっぱい入れ込んだパソコンであるようで、当時急速に普及を始めたCD-RドライブやZIP、PD等を選んだメディア王ということらしい。しかし秋葉原マップを見ると盛者必衰というか、これ残ってる店もう無いんじゃね?

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少々記事を長くとっているが、これは当時どれだけ苦労したかをわかってもらいたいのであえてすべて抜粋してみた。自分もWindows98時代に色々と増設していたがとにかくこのWindows95や98はこのIRQに相当悩まされた。場合によっては一旦Windowsをインストールした後に決まった順番で追加ボードを刺していって安定させると行った感じでやったりと本当に面倒であった。そしてこれが解消されるにはWindows2000まで待つことになる。厳密にはWindowsNT4でほぼ解決したのだが、残念ながらこのNT4は対応するドライバーがかなり少なく早すぎた16bitOSと言ってもいいだろう。これが2000からかなり対応が増えてきてようやく現実的になってきたというわけなのだ。

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これが最終的なスペックになる。まあこの時代にこれだけの外部メディア突っ込んだらこの値段になるわなという。またこの頃はほとんどがSCSI機器であったため、SCSIボードも追加で準備という感じだ。実際はここまではなくとも、もう少し安めのCD-Rドライブや230MBのMOドライブはつけていたユーザーも多かった。

はじめてのPentiumII

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PentiumIIが出たばかりということでのミニ特集。値段もすごいが、このPentiumIIは正直言ってこの時期に買うのは結果的には駄目であった。この後にベースクロックを66Mhzから100Mhzに引き上げた新PentiumIIが登場し、同時に440BXという超ベストセラーチップセットが登場するからだ。ただ、それでもPentiumIIは速かったのは確かで、やはり足回りの440LXがほぼほぼ440BXの試作品だったとは言えそれでも足回りは430系に比べれば高速化されていたのだ。当時初めてPentiumIIを触ったときは本当にびっくりした。なにがすごいって明らかに430系のチップセットに比べても速かったからだ。なので決して失敗ではないのであるが、この後すぐに440BXが出たことを考えてもやはりまだ時期尚早だったのは明らかだった。

PART-2 デスクパワーSXをケースだけ使う

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今でも流行りの中味だけ変えてしまおうシリーズ。それの先駆けのような特集である。というのも当時、富士通のこのデスクパワーシリーズは売れに売れており、結構なみなさんが持っていたこともあり、パワーユーザーへの第一歩目ということでこいつを改造してみようという無茶企画に近い。なにせデスクパワーを買うようなユーザーはそこまで自作系に詳しいわけでもないので、そもそもどれだけのユーザーをターゲットにしていたのかまったくもって検討もつかないw。

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また選んできたのがこのデスクパワーSX。これはデスクパワーの中でもかなり売れていた機種で当時見たことのある人も多いと思う。ただよりにもよってこのSXを選ぶあたりがなかなかにすごいセンスで、なにせライザーカード仕様であったためこの時点で相当に敷居は上がる(当時ライザーカードは結構不安定のもとと言うことで大半の自作ユーザーは敬遠していた)。ただあえてライザーカードを選ぶことで逆に使ったことのない自作ユーザーに対しては記事として面白く見れるのは間違いないのでそこも狙ったのかもしれない。

またさらにすごいところはCPUにK6を選ぶところ。ここで当時はまだ市民権を得ていなかった互換CPUを選ぶところがなかなかである。もちろんライザー規格のおかげでマザーボードの選択肢もほぼほぼ皆無でなかなかカオスな企画になっていく。

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結論から言えば凄まじい企画であった。当時もこれを読んだのだがここまで散々な結果になったのは多分今回だけだったと思う。本文では相性問題等で片付けて入るが、これはむしろ富士通のデスクパワー自体の問題だと思う。かなりシビアな調整をしていたのだろう。相性問題というよりもそれしかない組み合わせで組み上げていたのではないか?当時からライザーカードはかなり相性が出るとは言われてはいたがこの結果はなかなかである。6ページ分あるが読めるのであれば是非読んでほしい。筆者の断末魔がそこはかとなく聞こえてくるのがよく分かる。

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結果としては惨敗というべきだろう。さらに言えばダメ押しパーツがよりにもよって特集の主役でもあるパソコン本体そのもの。さすがにこの結果は見ていて衝撃的でした。

特集:TXマザーボードは現状買いなのか?

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こちらは当時発売していた新チップセット430TXに関しての談義。結果として言えばこの430TXはMMX Pentiumを使うのであれば必要はなかった。これはPentiumIIに移行することなく安価に互換CPUを使うためのチップセットだった。なのでPentiumIIへのつなぎとして新規で買うのであれば問題はなかったが、PentiumIIへいずれ移行する予定があればそもそも買う必要はなかったと言えるだろう。それでも当時の自作界隈では新CPUや新チップセットが出ればとりあえず買い換えると言うのがトレンドで皆ぼちぼち買い替えていたのである。今と違ってとにかく新陳代謝が速かったこともある。

特集:新技術放談 第2回

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当時のMMX Pentiumを中心としたPentium系CPUの簡単な紹介等。これを見ながら当時は何を買おうか、選ぼうかという感じで考えていた。この考える時間が一番楽しくて何度も読んだものだ。

PART-3 10万円パソコンを作る 第2弾

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この10万円パソコンシリーズは今後も続いていくのだが、まだこの頃はパソコンを買うと言っても安くて15万ぐらいはかかっていて、とにかく10万円で作るというのはかなり厳しかった。今後も当然続いていくのだが、初期の頃はとにかく厳しく編集側も本当によくやってたよなって思っていた。それくらい厳しかったのだ。

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実に12ページと言う長さでパーツ選びをかなり細かく紹介している。この規格への力の入れようがこれだけでも伝わってくる。なにせかなりシビアに計算しないと組めないのでそれもあって読者に詳細を伝えたかったのであろう。

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この時代のパーツ代金は金額の移り変わりが本当に速く一ヶ月でかなり変化をしていた。そんな中この記事が出る頃は相当値段は下がってきていたのでこの通りに買おうと思うと予算は結構安めに付くということもザラであり、そういう意味でも非常に参考にはなった人も多かったと思う。もちろんスペックは最低限であるので非常に厳しいし、OSはついていない。ただそれを考えても10万円という予算内で現実的に組めるようになってきているというのは伝わっており、それだけでも意味のある企画であったと思う。

PART-4 Pentium Pro マシンを作る

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よりにもよってこの時期、このタイミングで凄まじい企画を打ち込んできたものだ。なにせPentiumIIがすでに発表されていて発売も近いという状況であえてPentium Proという選択肢も凄まじい。同時にこのPentium Proは16bitOSでないとパワーは100%発揮されないと来たもんだ。ただPC自作派のこういう普通は組み上げない仕様と言うのは同時に組んだことのない人たちからしてみれば未知の世界であり、これはこれで楽しい企画でもあった。

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実にCPUだけで価格の1/3以上を占めるという漢っぷり。それ以外を見ると実はそうでもなく、いかにCPU代金だけで凄まじかったことがよくわかる。

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結果的には微妙な結果。もちろん当然でこのPentium Proの弱点を周波数向上+MMX演算による力技で無理やり強化したのがPentiumIIでもあるのである意味当然といえば当然である。それでもロマンと言う意味では非常に楽しい企画であった。

最終:各パソコン比較ベンチ

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改めて思ったがこのPC自作派は結構面白く、当時としては毎号出るたびに買っていたのだが、このPC自作派で自分のパソコン関係の知識を相当数仕入れていた。自分にとってはバイブルみたいな雑誌であったのだ。残念ながら今はもう無くなっているが今のこの時代だからこそ、今の時代に即したものをまた読んでみたいものだ。