サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

Windows98・NT4時代の自作PC事情:PC自作派 Vol.9より

今回は1999.1 Vol.9より。

Voodoo3やUltraDMA66の対応がされてきた時代。すでにCeleronが市民権を得ており、10万円もあれば余裕を持ってパソコンが買える時代にもなっていた。

なお今回からタイトルを変えました。さすがに99年になってきてるのでWindows95でなく98と当時少しずつ市民権を得てきていたNT4時代に変更しました。

特集 徹底検証!スロット1互換チップセットは使えるのか?

f:id:setoalpha:20210427153826j:plain

当時は今と違って互換チップセットというものが存在しており、安定のインテルチップセット以外にも選択肢があったのである。互換チップセットのメリットといえばやはり価格。とにかく安くインテル製の6~8掛ぐらいの値段で売っていた。とは言え普通はインテルチップセットを選んでいたわけでこういった互換系を選ぶ人は普通に考えても物好きぐらいで正直どのくらい普及していたのかはわからない。

目次

f:id:setoalpha:20210427154037j:plain

PCパーツも落ち着いていた時期もあってイマイチ特集も力が弱く、ソケット7やビデオCD等少々ニッチなものがあるのがこの号の特徴。とは言え今と違ってそれでも加速度的に商品は発売されていたので、こういった特集も見ていて面白かったのである。正直今のパソコンは大半が決まった構成になっているのでそう考えるとこの時代は非常に特徴を色々と付けることの出来た時代だったのであろう。

TOPICS

f:id:setoalpha:20210427154317j:plain

このVoodoo3の衝撃はかなり大きく、当時は結構購入した人も多かったと思う。なにせ3D専用であったチップセットが2D・3D対応になりしかも当時はゲームでは必須でもあったGlide対応。非常に期待されて発売されたのだ。だが結局は失敗に終わる。

これは発売前は期待も大きかったのだが、チップの独占販売を目論んだため他のメーカーがこの後こぞってnVidia系のチップセットを採用。最終的には需要に対しての供給が少なすぎることや発売時期のずれ込みもあり、Voodooシリーズはこの3で終焉を迎えることになる。だがこの当時はそんな結果は全く予測できず、誰もがVoodooシリーズの未来を信じていたのである。

f:id:setoalpha:20210427154326j:plain

UltraDMA66は単純にHDDの方は発売が順当に進んでいったのだが、肝心のチップセットの対応が遅れていた。とは言えコネクタ形状は変わらず、普通に旧式チップセットでも接続は可能だったためそこまでトラブルにもなっていなかった。というのも体感的な速度差はほとんどなく、結局HDDの1プラッタあたりの容量が増えてくるに従って速度は上がってくるため、単純に当時は新型として先物買いみたいな感じで買っていただけである。

10万円パソコン定点観測は今回からの特集であるが、見ての通り一ヶ月で酷い価格の暴落っぷりがわかる。時期的なものもあるのだろうが、この時代はこういったことが当たり前のように起きていた。あくまで10万円でこだわればこのスペックになるので、逆に言えば少しスペックを調整すれば10万円は余裕で切るパソコンも組めたのだ。

f:id:setoalpha:20210427154330j:plain

f:id:setoalpha:20210427154336j:plain

当時のCPU事情より。なおmp6は相当にマニアックなCPUで当時買った人はいたのだろうが自分の周りでは誰も居なかった。多分にアキバのごく一部の店舗にしか出回っていなかったのではないかと思われる。なお当時から値段はバカ安。会社的には超低価格パソコン向けに開発したのではないかと思われる。

巻頭特集 徹底検証!スロット1互換チップセットは使えるのか?

f:id:setoalpha:20210427155623j:plain

f:id:setoalpha:20210427155629j:plain

f:id:setoalpha:20210427155635j:plain

結論から言ってしまえばスロット1互換チップセットを選ぶことは物好きのレベルであり普通であればまず選ばない。そもそもすでにベストセラーとも言えた440BXの値段が下がってきてることもあり余計にその選択肢はなかったと言ってもいいだろう。もちろんソケット7系は独自の進化により互換チップセットがメインとなったが、それもCeleronの登場でコスト的には無意味となった。当時から思うのだが誰が何を持ってこの互換チップセットをわざわざスロット1で買っていたのか不思議でならない。ただ雑誌の特集としてはこんな面白い実験はないので見てる側としては非常に面白かったのである。

f:id:setoalpha:20210427155933j:plain

f:id:setoalpha:20210427155939j:plain

f:id:setoalpha:20210427155945j:plain

チップセットのスペックを見てもらったらわかるが正直互換チップセットを選ぶメリットはほぼゼロと言ってもいいだろう。一応最大メモリ上限が違うのもあるが、結局Windows98でのメモリ上限は512MBなのでこれも意味がない。また当時は128MBメモリの値段がまだ高かったため、64~128MBで運用していた人も多いと思う。予算的にもここのスペックは正直意味がなかったと言ってもいいだろう。

f:id:setoalpha:20210427160809j:plain

f:id:setoalpha:20210427160815j:plain

f:id:setoalpha:20210427160821j:plain

f:id:setoalpha:20210427160828j:plain

f:id:setoalpha:20210427160840j:plain

f:id:setoalpha:20210427160848j:plain

検証は以上の通り。やはりインテル系に比べるとトラブルに陥る可能性は高いとのこと。ただ当時は普通にドライバーを入れても不具合が起こることもあったりしたため、その確率がさらに上がると言った感じだったのだろう。とりあえず周りで購入した人が全く居なかったのでなんとも言えないが少なくとも地雷めいた状態に誰も購入しなかったのも当然だろう。

f:id:setoalpha:20210427161048j:plain

f:id:setoalpha:20210427161053j:plain

格安440BXマザーボードの値段を見ると互換チップセットを選ぶ意味はないと言ってもいいだろう。まさに人柱アイテムであった。

Part1 中級 映像編集PC ビデオCD作成パソコンを作りたい!

f:id:setoalpha:20210427161402j:plain

f:id:setoalpha:20210427161407j:plain

このコンセプトも時代的にはかなり無謀であった。なにせ当時はUSBもまだ1.0がようやく普及してきた時期。SCSIカードが未だに幅を効かせてきていた時代でかなりの無茶企画なのは明らかだった。

f:id:setoalpha:20210427161636j:plain

f:id:setoalpha:20210427161642j:plain

f:id:setoalpha:20210427161646j:plain

f:id:setoalpha:20210427161651j:plain

まだこの時代はHDDを録画に使うという考えはほぼほぼ皆無。今でこそBDレコーダーにHDDが内蔵されており、また家庭用テレビにもHDDをつなげて録画するというのが当たり前になっているが、考えてもらいたい。このHDD録画機能もこの10年ぐらいでようやく普及してきた代物。むしろHDDはパソコンの周辺機器と言うイメージが強かった時代。またビデオカメラで録画したテープに保管で編集な無し。テレビはビデオデッキに録画。そういった時代なのだ。当然こういう発想自体がズレていたのは言うまでもない。だがこの時代を先どった企画は自分的には非常に魅力的でもあり、この後ビデオキャプチャーパソコンを作る際に大いに参考になってくれたものだ。

f:id:setoalpha:20210427162057j:plain

f:id:setoalpha:20210427162103j:plain

f:id:setoalpha:20210427162108j:plain

f:id:setoalpha:20210427162113j:plain

さて、この時代のパソコンはCPUパワー及びHDDへの転送速度がまだまだ低く、普通に圧縮しながらキャプチャーすると高確率でフレームドロップが発生していた。そこでハードウェア圧縮が可能なパーツが欲しくなるのだが、これが困ったことに値段が非常に高くほぼほぼ貴族の楽しみレベルであった。また当時はMpeg1圧縮が主流。このMpeg1圧縮機能搭載のキャプチャー機能を横目に見ながら何を買うか選ぶわけでもあった。ただいかんせんまだUSBがまともに使えない時代。PCIスロットにさすか今回のIO-DATA製のようにパラレルポートにさしたりとまだまだ敷居はかなり高かった。

f:id:setoalpha:20210427162452j:plain

f:id:setoalpha:20210427162457j:plain

f:id:setoalpha:20210427162503j:plain

f:id:setoalpha:20210427162508j:plain

結果的にはこういった相性や色々な不備も出ており、やはりまだまだ環境的なものが整っていなかった時代が故だろう。ただここでのポイントは予算が20万もあれば少なからずはドウェアエンコード対応のキャプチャ機能搭載パソコンが自作できるという点である。一昔前からすればかなりの破格。まだまだ時代は早かったとは言え出来るようになったことが非常に意味があるのだ。

なお本格的なビデオ編集時代はこの後に初代Athlonが発売した頃からスタートすることになる。CPUパワーがついに追いつき始め、マシンスペック的にも非常に余裕が出てき始め、HDDの容量も加速度的に増えてきたことの恩恵を受けることになる。この記事はまさにその直前の過渡期でもあったのだろう。この一年後あたりから一気に環境が整い始め快適レベルまで進化することになり、またハードウェアエンコード型のPCIカードも続々と発売され市民権を得ていくことになるのだ。

Voovoo通信

f:id:setoalpha:20210427163013j:plain

f:id:setoalpha:20210427163019j:plain

f:id:setoalpha:20210427163027j:plain

f:id:setoalpha:20210427163033j:plain

かなりの不具合特集でもあったが、そもそもVoodooBansheeを購入すると言った選択肢は当時は皆無でもあった。だいたいこのBansheeを購入するユーザーは当時はPC-9821シリーズ用のパワーアップ用のイメージが強く、AT互換機ユーザーは大半がMillenium+Voodoo2の組み合わせを選んでいた。さらに言えばクリエイティブ製のグラボは当時から妙な相性問題も多く、値段は安いが結構周りの知り合いは避けていたというのも触れておこう。

Part2 中級 地方巡業編 ソケット7とスーパー7で77000円マシンを作る!

f:id:setoalpha:20210427163612j:plain

f:id:setoalpha:20210427163618j:plain

地方巡業編でソケット7と言うかなりの企画…

f:id:setoalpha:20210427164016j:plain

f:id:setoalpha:20210427164022j:plain

f:id:setoalpha:20210427164027j:plain

f:id:setoalpha:20210427164032j:plain

まだまだでんでんタウンが元気だった時代。当時は恵美須町駅で降りるすぐ近くのソフマップ4号店へと足を運びワクワクしたものだ…。

参考:↓

かつて大阪日本橋でんでんタウンで生まれ育ったおっちゃんの思い出ブログ。 : ソフマップ90年代の店舗紹介

f:id:setoalpha:20210427164734j:plain

f:id:setoalpha:20210427164739j:plain

f:id:setoalpha:20210427164743j:plain

f:id:setoalpha:20210427164748j:plain

見てもらえばわかるがこの価格でかなり高スペックのパソコンになっている。時代の流れとは言えWindows95発売からわずか3年足らずでここまでパソコンが安くなるとは。当時もびっくりしたが今もやはり驚かされる。今の時代はむしろ最低価格はほぼ決まっており、単純にスペックの底上げと言う感じになっているのでそう考えると底値にほぼほぼ近い状態なんじゃないかとも感じる。

f:id:setoalpha:20210427165056j:plain

f:id:setoalpha:20210427165101j:plain

f:id:setoalpha:20210427165106j:plain

f:id:setoalpha:20210427165112j:plain

結論から言えば非常に快適なパソコンにはなるにはなるが悲しいかなCeleronにあと少しで届くという予算。これを考えるとわざわざソケット7系を選ぶ意味はほぼほぼ皆無であり、結局なんとか頑張ってはいたがインテルの物量作戦にやられたということだろう。Celeronが出た時点でこの結果は決まっていたのかもしれないが。

f:id:setoalpha:20210427165752j:plain

f:id:setoalpha:20210427165757j:plain

結局互換CPUは値段的なメリットが無ければ売れないというのが真相だろう。当時からそうであったが性能的には当時はそこまで変わることもなく、値段も変わらずCeleronの登場でコスパも良くなってきたスロット1を選ぶのは当然の選択でもあった。結局この後にK7が出るまではこの状況が続くことになる。

PART3 上級 OS大集合!夢の百面相パソコンへの挑戦

f:id:setoalpha:20210427170604j:plain

f:id:setoalpha:20210427170611j:plain

f:id:setoalpha:20210427170631j:plain

f:id:setoalpha:20210427170636j:plain

f:id:setoalpha:20210427170642j:plain

f:id:setoalpha:20210427170648j:plain

f:id:setoalpha:20210427170656j:plain

この企画はコンセプトが逝ってるためなかなかにヘビィな感じでもある。そもそもWindows系のマルチブートは聞くが、それにプラスして更に追加となるのは敷居が高い。安定させるのも一苦労とは思うが…。

それにしてもこういったお遊びでも10万強で作れるようになっており、パソコンも相当に組み立てやすくなったがゆえにこういったお遊びパソコンも作れると言ったところか。普通であれば値段的にも無謀すぎてチャレンジ自体が怖いのである。

f:id:setoalpha:20210427170904j:plain

f:id:setoalpha:20210427170910j:plain

f:id:setoalpha:20210427170915j:plain

f:id:setoalpha:20210427170920j:plain

f:id:setoalpha:20210427170926j:plain

f:id:setoalpha:20210427170932j:plain

f:id:setoalpha:20210427170937j:plain

結局リムーバブルドライブを使ったところがアレだが、そもそもOSを10本入れること自体が無茶。こういったお笑い自作企画は自分では絶対にやらないので見ていて面白いが、やっている方もそれはそれで楽しかったのではないかと思う。自分がもし担当になっていたらノリノリで自作しただろう。

f:id:setoalpha:20210427171204j:plain

f:id:setoalpha:20210427171209j:plain

f:id:setoalpha:20210427171214j:plain

f:id:setoalpha:20210427171306j:plain

一応コツみたいなものを書いて入るがいったいどのくらいの人がこれをみて役に立ったのか…。

はじめてのWinChip2

f:id:setoalpha:20210427171332j:plain

f:id:setoalpha:20210427171337j:plain

当時としては旧式パソコンにポン付けで動くと言われたCPU。WinChipも2になってさらにパワーアップ。結局は旧パソコンを持ってる方(特に9821シリーズ)向けと言ってもよかろう。ただこの頃はこういったロマン溢れたCPUも結構出てたので面白かったものである。

PART4 秋葉原に負けるな!?インターネット通販で…以下略

f:id:setoalpha:20210428121737j:plain

f:id:setoalpha:20210428121745j:plain

この当時のパソコン・パーツは地方は非常に店舗も少なく、政令指定都市レベル以外ではほぼ皆無と言っても良かった。今でこそパソコン工房が全国に定着し、ある程度の地域であれば買いやすくはなったが、それでもまだまだ少ない(現在、パソコン工房は地方都市でも主に大学生をターゲットにしてるのか大きな大学がある地域に出店してる気もするが)。当然当時は相当数数は少なくパーツを買うのも一苦労。そんな中インターネット通販と言うこれまた始まったばかりのサービスで買うというチャレンジ。インターネットと言っても今と違って当時はまだモデムやISDN回線。速度も遅いしまた今ほどクレジットカードで購入という人も少なかったため結構敷居は高かったわけだ。

f:id:setoalpha:20210428122102j:plain

f:id:setoalpha:20210428122107j:plain

f:id:setoalpha:20210428122113j:plain

f:id:setoalpha:20210428122120j:plain

f:id:setoalpha:20210428122126j:plain

f:id:setoalpha:20210428122134j:plain

どこのショップもまだまだ手探り状態というのもわかる。なにせ当時はヤフーショッピング等のショッピングモール系サイトもなく、各ショップが独自で作成したHPでの販売がメイン。全国区の大手パソコンショップもなく各々が手探りでやっていたのだろう。

f:id:setoalpha:20210428122704j:plain

f:id:setoalpha:20210428122711j:plain

f:id:setoalpha:20210428122718j:plain

f:id:setoalpha:20210428122723j:plain

f:id:setoalpha:20210428122729j:plain

当時の通販対応事情ということで参考に。

見ての通り代引きか振り込み、書留とまだインターネットでの支払いが完全に確立されていないこともわかる。今なら手数料がかかるもののAmazonやヤフー系、楽天等で簡単にクレジットカード等で買えるが当時はまだまだ。通販を使うにも手間とパワーが必要だった。

f:id:setoalpha:20210428123145j:plain

f:id:setoalpha:20210428123152j:plain

f:id:setoalpha:20210428123157j:plain

f:id:setoalpha:20210428123203j:plain

見てわかるがやはり店舗を複数で買うよりは一店で買ったほうが確実に安くはつく。たがいかんせん今と違ってなかなかそれも難しい。今ならショップブランド物一台買えば問題ないが当時はパーツの種類もまだまだ多く今の用の一点買いは選択肢的にも厳しかった。

今号の自作パソコンパフォーマンス一覧

f:id:setoalpha:20210428123416j:plain

f:id:setoalpha:20210428123421j:plain

時代の流れか参考パソコンが完全に参考になったのがわかりやすい。通常で自作したパソコンも決して高額ではなくいかにパソコンが買いやすくなったのかがよく分かる。当時のベンチとしてはどうしても古いタイプが多いが、一応Final Realityである程度判断してもらいたい。初期の3D系ベンチマークで当時はこれが一般的でもあったのだ。

 

 

今回は以上で。

ちょっと更新が遅れたのは忙しかったからです。。。次回更新もちょいと未定ってことで。