サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

PC-9801シリーズ:当時のビジネス・ゲーム状況におけるモデル変化(後編:95年度)

今回は駆け足気味に本体の更新年度とその頃の状況を語ろうと思います。この時期になってくると立て続けに出てきてるので軽く流していくことにします。

setoalpha.hatenablog.com

95年は怒涛の勢いで発売をしていく。数が多すぎてもはや乱立状態に…

1月:10万を切った98として話題になった98Fellow

   9801BA3(i486DX-66Mhz):¥138,000・¥198,000(210MB:Windows3.1)

   9801BX3(i486SX-33Mhz):¥98,000・¥163,000(210MB:Windows3.1)

昨年の7月に最終A-Mate、改良版X-Mate、10月にCanBeと発売してきた流れからか年明けは9821シリーズは一旦小休止。その代わりに一年とちょっと放置されてきた9801シリーズから実質最終モデルでもあるBA3・BX3を発売してくる。
この9801BX3は実は当時初の10万切りの98シリーズとしてマスコミでかなり話題になった。まあ面白おかしくNECの凋落を報道しているメディアがほとんどであったが、なにせこのモデルはHDDもなにもないプレーンモデル。すでに他のメーカーは年末にでるWindows95を見越したモデルを発売しており、完全に話題性先行のモデルでもあった。だが箱を開けてみたらこの98は売れに売れた。というのもWindows95に関係なくすでに環境が整っていた主にビジネスユーザー中心に差し替えで売れたのだ。なのでそういった役割限定と言う意味でまだまだ法人用としては需要がありまくっていた98ならではの現象だろう。なお、当時のマスコミの報道は分かってる側からすれば本当に馬鹿丸出しの報道で知り合いの間ではド素人のマスコミがド素人向けに報道してる、あいつら馬鹿じゃ、とけちょんけちょんに話していた。

5月:X-MateからMateX主流モデルXaシリーズへ。メモリ最大128MB&x4CD-ROM標準搭載でWindows95を見据えた新98MateX(このモデル以降の9821はほぼCD-ROM搭載となる:Xa10のみメモリ16MB搭載、ほかは8MB)

   9821Xa10(Pentium100Mhz):¥448,000(420MB)・498,000(1.2GB)

   9821Xa9(Pentium90Mhz):¥358,000(420MB)・¥398,000(850MB)

   9821Xa7(Pentium75Mhz):¥268,000(420MB)・¥298,000(850MB)

今後の流れの一端を担うことになる新XaをMateXシリーズとして微妙に改名して内部仕様を大幅に変更して発売してくる。前モデルでもある初代Xaの癖を取り除き、Windowsマシンとして使いやすいマイナーチェンジを施してきた。当時としては高速で名高かったTrident社製 TGUI9680XGi(2MB)を内蔵しており、非常に速い描写能力を誇る。以降発売するCanBeやValueStarシリーズはコストのせいか未だに一世代前のGD5440を採用しており、Windows95上での動作向上を見越しての採用であった。

当時はXa三兄弟と言われており高価格モデルから低価格モデルまで揃えてきてNECの気合を感じられた。最高モデルには当時最高容量と言われた1.2GBのHDDを搭載。またPCカードスロットと少し変わったものも搭載してきたが、これはビジネスユーザーへ向けてのものだったのだろう。なおMateXは86音源や拡張FM音源(118音源)が導入してなく、Windows95に対応したPCM音源のみになる。ただ販売形態に関してはA-Mate系の流れをそのまま継いてきた事もありディスプレイはなしになるため少々割高にはなる。その分スペック重視になっており特にXa10はメモリも16MBとこの当時としては破格。下のモデルも実は簡単にOC出来るようになっており、あえてXa7を購入して100Mhz駆動していたユーザーも多かったという。まあこの初期Xa三兄弟はメモリに少々癖があってパリティ有でないと100Mhz駆動の際にエラーが出るという罠があったため少しメモリ代が高くかかることがネックであった。なお、Xa三兄弟は当時Windows95のインストールの際に初期状態だとエラーを吐き出すためBatファイル書き換え等が必要であった。また問屋では相当数仕入れていたのか秋葉原では翌年の夏頃になるとアウトレットとして出回り大暴落。最高スペックのXa10/C12モデルがなんと12万程度になってしまい、Xa9やXa7になると10万円切るような惨状でこの時に9821に買い替えた方も多かったのではないだろうか?なおこの後に出るモデルも軒並み一年後にはアウトレットとして出回っており、数を出しまくった故の反動が凄まじく起こることになる。とはいえXa三兄弟は素性が非常によく結構長く使われていたのではないだろうか。Xa10のみ年末に後期型のK型番が発売されることになるが、こちらはそこまで暴落はしなかったところを見ると仕入れが大分抑えられていたのだろう。

なおこのパリティしばりはMateXモデルのみの話でValueStarやCanBeではそういう話はなかったので、NEC側による半分嫌がらせみたいな感じもするが、ジャンパ変更によるベースクロックの変更が発売当初から雑誌等で簡単に出来ることは知られていたことも有り、単純にそう簡単に高スペックモデルにさせたくなかったと言う思惑が強かったのだろう。なにせ当時のPentiumは75Mhzでも簡単に100Mhz駆動していたため、そんなことしてされれば高スペックモデルが売れなくなるからだ。まあそれでもベースクロックの60Mhzに関しては普通に出来ていたため90Mhz駆動は簡単にできたことも有り、結局CPUの性能及びコスト的にも中途半端なXa9が一番売れていなかったと言う話である。

6月:売れ線顕在二代目CanBe、本命はPentiumモデル、売れたのは486モデル。なおCanBeは今後Cxシリーズはディスプレイ分離型でインチ選択可能になる。

   9821Cb2(i486DX2-66Mhz:420MB)最安価モデル以外はモデム・TV機能付

    ¥228,000・¥268,000・¥298,000・¥338,000

   9821Cx2(Pentium75Mhz):高いモデルはモデム・TV機能付

    ¥328,000(15inch)・¥368,000(17inch)(420MB)

    ¥398,000(15inch)・¥438,000(17inch)(850MB)

いよいよWindows95の頭が見えてきたこの頃からNECは9821シリーズへと本格移行を始めてくる。まずはCanBeシリーズから。ディスプレイ分離型の高価格モデルには17インチモデルを追加。高スペックモデルにしか搭載していなかったTV機能は全モデルの高価格モデルへと追加。Pentium搭載モデルも増え、また価格も大幅ダウン。特にPentiumモデルの大幅下落は初期モデルを買った人達からすれば涙を流してもいいレベルだった。ただWindows95を見越した割にはメモリは8MBを最低限に近く、下手にアップグレードしたユーザーは相当痛い目にあっただろう。だがそれを加味してもメモリを増設すれば解決する問題であったこともあり問題はなかっただろう。あえて言うなら値段差があまりないとはいえi486を選んだユーザーはちょっと痛い目にあっていたのかもしれないが…。

6月:X-Mate(i486モデル)の後継機種、安価な9821シリーズ中身は…

   9821Xe10(i486DX4-100Mhz:420MB):¥163,000・¥218,000(x4CD-ROM)

同月には9821Xe10と言う初代X-Mateの系譜の9821が登場。正直あまり売れていなかったと思う。。。余談だが、このXe10は以降Intel系に混じってAMD系のCPUが入ることも有り、微妙な命令形で若干不具合が出たという…。これに関してはインテルPentiumへの移行を早めることで486系CPUの生産を早めに打ち切ったことに所以する。

7月:最後の98Fellow。MS-DOSとしての9801の歴史は実質ここで終わる

   9801BX4(i486DX2-66Mhz):¥98,000・¥113,000(x2CD-ROM)

実質最後の9801型番と言ってよく以降は9821が主流になっていく。とはいえすでに昨年から9801は発売されておらずしかも半年でBX3からBX4へとモデルチェンジを行い、CPUをBA3相当にしHDDも無いプレーンモデルと言うことを考えてもMS-DOSユーザーへの最後の奉仕と言ってもよいだろう。このBX4は以降ちょいと議論を招くことになる…。

7・8月:9821初のディスプレイ添付モデルの追加。この辺りから路線が決まり始める

   9821Xe10(i486DX4-100Mhz:420MB):¥248,000(x4CD-ROM:15インチ)

先月発売したXe10にディスプレイ同梱モデルを追加。たった一ヶ月でモデル追加というショップ泣かせのことをしてきたわけだが、これは実質30,000円追加でモニターがついてくるわけでそこそこに売れたのだろう。可愛そうなことにすでにXe10を仕入れていたショップはショップ独自でディスプレイ追加モデルを売っておりかなりカオスな事になっていた…。

   9821Xa7e(Pentium75Mhz:850MB):¥298,000(15inch)・¥338,000(17inch)

8月になると今度はXa7にディスプレイ添付モデルが追加される。Xa7の高価格モデルがお値段据え置きでディスプレイ添付ということでこちらも相当数売れたという話である。こちらのモデルはパリティチェックがなく、普通にピン差し替えで100Mhz駆動が出来たことも有り人気があったようだ。ただCバスやPCIスロットの数が減少しており、パリティチェックが無いこと及びグラフィック機能がGD5440ということを考えても名前だけMateXで中身は11月に発売されるValueStarの試作機及び販売テストと言ってもいいだろう。

9・10月:在庫一掃?お値段据え置きPentiumODPを商用PCに搭載した無茶モデル

   9801BX4/p(PentiumODP-63Mhz):¥98,000・¥113,000(x2CDROM)

   9821Xe10/P(PentiumODP-83Mhz):¥173,000・¥228,000(x4CD-ROM)

この2ヶ月はかなり不思議なモデルが発売されることになる。まず最初にすでに終売したと思われていた9801BX4、そして10月にはこれまた不人気であったXe10。どちらもHDDもないプレーンモデルでしかもXe10は21型番なのにこの時期にHDDが無いというかなりの謎モデルであった。一節にはそもそもBX4自体がXe10と同レベルのマザーボードだったとかいう話もあり、この二台は兄弟機に近いと当時言われておりその最後の花火というか完全にNEC側の在庫処分的な発売と言ってもいいだろう。BX4は今年に入って3回目のマイナーチェンジリリース。しかもXe10に至っては5ヶ月の間に3機種リリースというどう考えても気が触れているとしか思えない販売方針。

しかも何を思ったのかPentiumODPを載せて販売するという謎方針。これに関しては値段は確かに初期発売の価格のままでお得感はあるのだが、単純に思った以上に売れなかったPentiumODPを安価で購入して差し替えて売ったんじゃないの?って思ったぐらい。メーカーパソコンでPentiumODPを載せて大々的に売っていたのはNECの98シリーズだけであったことからも間違いないだろう。とにかく費用対効果は非常に良いのだが、かなり長い間売られていたのでさすがにMS-DOS専用と言う意味ではほぼほぼ前月までに売ってきたXe10やBX4で行き渡ったんじゃね?って感じだった。さすがにここまではやりすぎだった。一粒で何度美味しいしたのやら…。。。

11月:三代目CanBe、これ以降Windows95搭載。CanBe初の全シリーズPentium採用

   9821Cb3(Pentium-75Mhz:850MB):¥298,000

   9821Cx3(Pentium-100Mhz)

    ¥378,000(850MB:15inch)・¥458,000(1.2GB:17inch)

11月にいよいよ9821でWindows95がデビューすることになる。このCanBeではメモリを標準で16Mhz搭載し、またCPUも一気にPentiumを標準にした。その分最低価格はどうしても上がってしまったが、このモデルからはモデム及びTV機能も標準で搭載し、Officeと一太郎の選択モデルになる。それを考えるとかなりのバーゲン価格と言ってもよいだろう。同時にPentium100Mhzモデルも発売されるがさすがにこちらは少々お高い。それでも同年5月に発売していたXa10に比べると非常にコスパもよく選んだ方も多かっただろう。またCanBeはこの当時のパソコンとしてはソフトてんこ盛り仕様。メモリを16MBにしたのはこの辺りも理由にあったからだろう。またCanBeシリーズは拡張FM音源を積んでいたため、Windows95の下で起動しているMS-DOSモードとして起動してしえば今までのHDDインストールタイプのゲームは起動できたし、普通のFDD起動のゲームは特殊な86音源のPCMさえ使わなければほぼほぼ問題なく起動が出来た。なので今までのゲームユーザーに向けてのアピールも十分できていたと言える。

大幅パワーアップもあってこの三代目CanBeも売れまくった。というか当時のWindows95バブルで初めてパソコンを買う人も多かったのだが、やはりパソコン=98のイメージが強く、そして初めて買う人からすればディスプレイがついていたほうがよい。さらに出た当時はWindows95はソフトも少なく各社がこぞってソフトてんこ盛り手法をとってきたが、NECは当初CanBeシリーズでのみこの戦略をとってきており、どうしても初心者ユーザーからすれば買いやすかったこと&店側も売りやすかったのだろう。メモリの追加も出来るため+16MBもしやすかったこともあり店側も売りやすかったのだろう。またメモリは翌年から一気に値下がりしており、そういう意味でも買った側もタイミングは良かったと思う。以外だと思うがメーカーパソコンのメモリは16MBの時代が結構長く、97年頭ぐらいからようやく32MBが標準になったぐらいなのだ。なので95年に買ってもメモリさえ追加すればCPUはすでにPentiumになっていたため十二分に戦えた。CanBeは3代目になってようやくNECの望んだ路線に乗ってくれたといってもよいだろう。言い換えれば2年近くかけて変化しつつも最終的にA-Mateの路線を吸収し、Windows95対策がようやく実を結んだと言っても良い。以降MMXPentiumが発売されるまでは9821シリーズは実質CanBeが支えていくことになる。

11月:98ValueStar:ディスプレイ付属の今後の主流モデルの登場

  9821V7(Pentium-75Mhz:850MB)

    CanBe同筐体一体型¥218,000

    238,000(15inch)・¥288,000(17inch)

  9821V10(Pentium-100Mhz:850MB)

    CanBe同筐体一体型¥218,000・¥318,000(ISDNボード)

    15inch¥265,000・¥315,000(モデム付・17inch¥325,000・¥375,000(モデム付

こちらはCanBeと並行して販売してきた新シリーズでもあるValuStar。多分にソフトてんこ盛り+基本仕様の向上およびMS-DOS系ゲームの対応と少々値上がり気味であったCanBeシリーズに対してのビジネスワーク中心モデルということで発売してきたのだろう。発売当初はCanBeと重ならないようにOfficeまたは一太郎のみ搭載の簡易モデルであった。なおValueStarモデルは初期はWindows95搭載なのにメモリが8MBと話にならないので増設必須になる。ある意味16MB増設することで24MBがになるため当時としては結構快適にはなる。

なお、ValueStarモデルはCバス及びPCIスロットの数がMateXシリーズよりも少ないので拡張性に関してはあまりよろしくなくどちらかといえば増設等はあまり行わない初心者向けでもあった(それが先々足かせにはなってくるのだが…)。

11月:実質V10改。拡張性がなさすぎて一世代で打ち止め

   9821Xb10(Pentium-100Mhz:850MB):¥198,000

Pentium-100Mhzでこの値段は非常に魅力的ではあるがスペックをみてもビジネス機にしてはCバスも少なくPCIスロットも少ない。同様にGD5440搭載という時点でVシリーズ派生の名前だけMateXというのは間違いないだろう。さらに言えば直前にODPを載せたXe10も発売しておりそれと若干かぶることもある。これに関してはほとんど売っていなかったのであまり売れてなかったのだろう。Windows95の搭載もなくOSですらなかった事を考えても買い替え需要での高速なMS-DOS運用機に対しての販売だったと思われる。MateXを購入するユーザーはスペックにこだわるというのがあからさまに出た機種とも言える。安ければいいというのではなかったのだ。

11月:Windows95搭載初MateX、K型番に差し替わりマザボもマイナーチェンジ。MateXシリーズは基本メモリ16MB以上と優遇されたモデルとなるがOfficeもなにもないのでほぼほぼWindows95プレーンモデルに近い。

   9821Xa10(Pentium-100Mhz):¥268,000(850MB)・¥298,000(1.2GB)

   9821Xa12(Pentium-120Mhz):¥348,000(850MB)・¥398,000(1.2GB)

   9821Xa13(Pentium-133Mhz):¥398,000(1.2GB)・¥448,000(1.6GB)

Windows95の発売に合わせてきた新MateXの2代目になる。新Xa10はメモリが8MBと減少したものの価格を一気に落としており、なんと1.2GBモデルに至っては定価ベースで20万円近く落としてきた。正直メモリの容量差もここまで値段を落としてくると一つも問題なく、このおかげで前モデルの1.2GBは翌年に価格大暴落と言う悲惨なことになる(しかもWindows95も入ってないし)。なおXa10のみPCカードスロット除外されるがこれは必要としてる人は相当少なかったと思うので何も問題ないだろう。

仕様は前モデルとほぼ変わらずK型番からはCPUの内部倍率ジャンパーがCバス下に追加されたぐらい。これのおかげでK型番のXaシリーズはジャンパーの倍率変更により以降Pentium-200Mhzまで対応出来るようになる。そのせいか在庫は旧MateXシリーズのこともあり少々バラツキ気味ではあったのだが意外とアウトレット価格としてはそこまで落ちることはなく定価ベースから考えると比較的高値で安定していた。特にXa10はかなり素体としては使い勝手がよく当時お世話になって人も多いだろう。

唯一の難点はソフトが皆無ということ。Officeすら入ってない。限りなく素体の状態のWindows95に近い。

なおXa12のみかなり筐体に癖があるらしく苦労をしたという話を当時聞いた。正直理由はわからないのだが、Xa三兄弟のときにも語ったが多分にこの頃のMateXシリーズはパリティの有無によるベースクロックしばり(要はパリティ有でないと66Mhz時にエラーを吐き出す)があったことによる所以だろう。というのも同じK型番でも後期モデルからはパリティしばりがなくなっておりそういう理由もあってのことだろう。ただPentiumも100Mhz以上になるとOCが出来にくくなっており、そういう意味ではもう必要ないと判断しての後期モデルからのしばり解除だったのだろう。初期はまだその名残が残っていたのかもしれない。基本Kモデルはパリディしばりはほとんどなかったという話だから。

なお、MateXシリーズのみ全モデルWindows95とMS-DOS6.2&Windows3.1の選択式になる。選択後は選択されなかったOSは削除されるという仕様だ。これは未だにビジネスユースで使うユーザーのために最新版のMS-DOS6.2という選択肢を残していたということである。だが、御存知の通りPC-98シリーズはSCSI起動してしまえばそれが起動ディスクになる。MS-DOS6.2がほぼほぼバックアップという名前でコピーされていたのは公然の秘密でありわざわざMS-DOS6.2を選ぶユーザーはいなかっただろう。

11月:最後まで使えた改造ベースの二代目9821タワー型

   9821Xt13(Pentium-133Mhz):¥620,000(1GB)

圧倒的価格のMateXである。価格の体部分はグラフィックボード。当時最高速と言われたMillenium(しかもVRAM4MBと言う化け物級)を搭載している。メモリも最大256MBと圧倒的でCバスは5枚、PCIスロットは2枚と当時のとしては最高スペックを誇っている。このパソコンを買う人は最初からメモリ16MBは問題ではなく、購入時から最低32MBにしているのは当然であっただろう。

なお、先々Xtシリーズは魔改造されることで長きに渡って改造されていくことになるがそれはまた別のお話である。

 

 

 

 

 

以上で年末にWindows95が発売されるまでの流れでした。実のところWindows95は出たばかりの頃は全くソフトもなく出来ることは本当に少なく、そういう意味でもフロッピーベースでゲームが出来るCanBeに人気が集まったのはある意味必然であった。特にWindows95以降で購入するユーザーの中にはWindows95は先々でいいと考えて敢えて相対的に安くなったFM音源搭載機を選んでいたユーザーも多かっただろう。Pentium搭載の初代CanBeのCfや二代目のCx2、一昨年に発売された486系の高速マシンでもある二代目A-MateのAp2やAs2などを買った人も多かった。まだまだWindows95はマスコミが騒いでいただけでバブルが始まったばかりでやれることは皆無だったからだ。

この流れは96年末ぐらいまで続くことになる。96年末ぐらいからちらほらとメモリ32MB搭載機が増えていき、97年を回ると32MBが主流になる。それから一気にWindows95のソフトウェアが増えていくことになるのだ。だがそれまでのつなぎの間はソフトはほぼほぼ皆無。結局ゲームぐらいしかない9821シリーズが売れていたのはある意味当然だったのだ。そのゲームの資産が尽きるまで…。98シリーズの命運はすでにこの時点で決まっていたのかもしれない。

 

次は最後の予定です。実質の終了とも言えるV233までの流れを一気に顧みようと思います。一応9821シリーズは初期PentiumIIまではあるのですが、98NXの発売が97年10月と考えても通称青札モデルのValueStar(97年5月発売)までだと思うからです。また一週間ぐらい先になりますがしばしお待ち下さい。