サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

PC-9801シリーズ:当時のビジネス・ゲーム状況におけるモデル変化(中編)

今回は9821シリーズが出てからになります。

ここからはちょっと長くなると思うので結構時間がかかるかな…。

setoalpha.hatenablog.com

ひっそりとデビュー:PC-9821(初代98Multi)

9821 modelS1&S2:i386SX(20Mhz):HDD80MB

   ¥318,000,438,000(92-11)

初代9821のデビューは実にひっそりとデビューをしている。しかもこの初代98Multiはノート用のHDDを搭載するといった感じでかなりコスパも悪い(事実、40MBHDDを内蔵していたModelS2はHDDオプションタイプに比べると10万円以上高くなっている)。正直CPUも9821シリーズとしては唯一i386SXで唯一のi386。それなのにグラフィックは拡張タイプ(以降PEGC)に強化され音源は86音源初搭載、さらにCD-ROMまで搭載と非常に歪な構成で出してきた理由は本当に不明。市場調査を見るにしてもすでにi386は時代遅れだと9801のFシリーズで答えは出ていたし、そもそもこれだけ最新機能搭載でCPUだけ型落ちというのは非常に不自然。そう考えるとすでに進んでいたプロジェクトだったのでとりあえずポシャらせずに出してきたと言う感じだろうか。

実際のところ広告で当時は見たがあまりピンと来なかった。なにせ新音源搭載と言われても、まだ採用されているゲームはなく突然9821発売!と言った感じで消費者側からすれば???と言う感じ。一応まだ一般的ではなかったWindows対応!といった感じで売り込んでいたみたいだが、なにせ当時のWindowsはソフトもほぼほぼなく、しかもCPUもこれな上にメモリも極小な状態でとてもまともに動かせるスペックではなかったのである。

なお、98Multiは以降3.5インチFDD専用になる。また9821からは1.44MBフォーマットも対応となる。これは当時標準と言われていたAT互換機のフォーマット形式であるため、98としての独自性はこの時点で少しずつ失われていくのだが、すでに先を見越しての対応だと言ってもいいだろう。

☆当時の状況☆

正直な話、ビジネスならまだしもすでにゲームユーザーも取り込んでいた98シリーズにとってはまだまだ方向性のわからない98Multiは購入するのもためらっていただろう。なにせ過去にH98で大失敗しただけに余計にその思いは強く、市場的には9801Fシリーズや古くなったとはいえ中古も値段が下がってきたこともあり音源組み込みタイプのDシリーズがまだまだ根強かったようである。

衝撃のデビュー:9821Ap・As・Ae(A-Mate)

9821Ap:i486DX2(66Mhz):(93-01・05):HDD340MB・510MB

   ¥550,000~¥830,000 / ¥650,000~880,000

9821As:i486DX(33Mhz):(93-01・05):HDD120MB・240MB

   ¥448,000~¥580,000 / ¥550,000~¥630,000

9821Ae:i486SX(25Mhz):(93-01・05):HDD120MB

   ¥358,000~¥445,000 / ¥488,000~¥495,000

(左:前期モデル / 右:Windows搭載・FDD1台モデル価格)

前期モデルと後期モデルの差は主にWindowsのプリインストールの可否とウインドウアクセラレーター(今で言うグラボにあたる)の搭載。またメモリーが前期モデルは3.6MBであるが後期モデルは5.6MBになっているところ。HDDの容量他は代わりはない。また前期モデルにはベースモデルがあり、HDD無しのFDD2台搭載モデルが存在する。なおこのA-MateからはHDDも内蔵可能で専用ベイで差し込むタイプになっているが、実際は安価な3.5インチIDE HDD専用ベイを準備しているあたり、互換性その他の面でもかなり苦労してるのだなと感じ取れる。

Windows3.1をストレスフリーで動かすことのできるスペックとして発売していたこともあり、後期モデルは完全にWindows3.1搭載となっており、MS-DOSとして使うには少々面倒なモデルでもあった。98シリーズは今までの資産を使い倒すためのパソコンでもあったため、このWindowsモデルは一言で言えば邪魔なだけで仕事をするにしてもまた同時にこの時期増えてきたHDDインストールタイプのゲームをするにしてもWindowsが本当にいらなかった。プリインストールのため消すに消すのも厄介事だったため、困った人も多かっただろう。なのであえて高いWindowsモデルは買わずに、また同時にHDDの容量単価がまだ高かったこともあり、あえてベースモデルを買う方は多かったようで、一応A-Mateから追加された拡張スロットから後にHDD等を追加していた人もいた。というよりもそういう使い方をしていた方が大多数だっただろう。中にはどうしてもHDDがほしいという人もいただろうが、なにせHDDが必須であったというレベルのゲームは93年にようやく初代ルナティックドーンが出てたぐらいで、このモデルが発売されたときはまだそんなことはなく、イメージも高速で入れ替えのないFDDの代わりというイメージが強かった。読み込み速度といっても当時はFDDで十分のデータのやり取りしかなく、HDDの強みを生かせるソフトはまだまだなかったというのが現実である。

単純に今までの資産を普通に使うだけならこのベースモデルで十分であったので、後期モデルは出たものの実質は前期モデルの安くなったベースモデルを買う方も多かったと思われる。なお、HDDの普及はこの後に出てくるA列車で行こうIV(93年12月)、ルナティックドーンII(94年)の発売をきっかけに爆発的に普及していくことになる。また9821としての性能自体はバトルスキンパニック9821(93年09月)でようやく日の目を見ることになる。当時プレイされた方ならわかると思うが、いちいちカードバトル中に「脱ぎまーす♪」「私のほうが胸が大きい!」等という軽快?なボイスのあとにどんどん服を脱いでいく様を見てきっと8801版をプレイした方はいろいろな意味で衝撃を受けただろうw。なお、このバトルスキンパニックでようやく400ライン16色の壁を超えた480ライン256色のPEGCを体験できた人もいたと思う。…が、いかんせんかなりのマイナーゲームなだけに実際のところ9821で本当にPEGC対応ゲームをプレイしていたのはごく一部ではないかと思う。一応ポリスノーツが9821専用ではあったが、こちらはPEGC対応ではないため純粋に9821対応とは言いづらくそういった意味でも9821専用ゲームは相当に少なく市場的にはイマイチだったと思われます。(厳密にはその後にWindows95が発売されてしまったため、コストを掛けるまでの必要性が低くなったと思われるが…)

なお下位モデルでは差は出ていないが、上位モデルではすでに5インチFDDでのHDD容量に格差が生まれており、また3.5インチモデルの方を安く設定するあたりNEC側としても5インチモデルは切り捨てていくと言う雰囲気を感じとれる。事実A-Mateはまだ後方互換が取られているが、先に出た98Multi及びこの後に出てくるB-Mate(後のX-Mate)では5インチモデルは切り離されており、それを考えてみても9801(というよりも今まで使われてきた5インチ上でのMS-DOSアプリケーション)としての純粋な強化機種としての後継機種はこのA-Mateだけであったこともよく分かる。

☆当時の状況☆

実際問題93年にはすでにWindows95の開発はかなり進んできており、NEC側も移植作業で相当数をマイクロソフトに送り込んでいたのだろう。それを見越して9821を出してきたわけだがそれでも今までの9801としてのユーザーを完全に切り離すのは難しかったのだろう。悩んだ末結果的に高価だけど全部入り+5インチモデルも選択可能な9821として最初にA-Mateを発売してきたのが苦渋の選択であったのだろう。その証拠に初期モデルはマザボにジャンパ線が伸びており、ギリギリまで設計を修正していたような痕跡も残っている。

が、これは結果的には正解であった。確かに高価ではあったが、今までの9801に比べてスペックを見てもかなり値段は下げておりこの初代A-Mateは相当売れたと聞く。だが、この売れすぎたが故に先のNECの戦略は難しかったのだろう。この後の9821の発売はWindows95が出るまでの間かなり迷走をしている感じがし、特にWindows対応として展開する予定であったB-Mateシリーズは迷走に迷走を重ねWindows95が発売する直前にようやく安定すると言った感じでもあった。

コスパ重視の低価格普及機路線へ:9801BA・BX(Fellow)

9801BA:i486DX2(40Mhz):(93-01):HDD80MB

   ¥328,000~¥388,000

9821BX:i486SX(20Mhz):(93-01):HDD80MB

   ¥218,000~¥288,000

今までの9801シリーズと比べても破格の価格設定で完全に路線変更をしてきた9801Bシリーズ。実にFAの発売から一年、FS、FXの発売から約半年強で値段は大幅に下落。特にBXは前年のFAよりも高速になりベースモデルの定価では半値以下。市場価格では前年の最高スペックのFAよりも高速なCPUで20万切り。さすがにこの値段設定は衝撃的で当時Fシリーズを買ったユーザーからは阿吽絶叫だっただろうが、本当に阿吽絶叫だったのはショップの方だったと思う。なにせ98シリーズといえば今まで極端な値下げはほぼほぼなかっただけに、A-MateとこのBシリーズの登場はあまりにもダイナミックすぎて在庫として抱えていたFシリーズは本当にたたき売りする以外手段がなかったからだ。

もちろんここまでダイナミックに値段を下げるのはリスクはあっただろうが、NECとしては同時に発売したA-Mateに力を入れており、9801はあくまでMS-DOS専用としてのビジネスマシンとしての位置づけにしたかったのはFM音源を再度非搭載にしたことを見ても明らか。ゲームや高性能機としてはA-Mateで役割を渡すという感じにしたかったのだろう(同時に同モデルのA-Mateと比べてもCPU周波数に差をつけている)。その後マイナーチェンジモデルからフロッピーディスクを1台にしたA-Mateを見てもそれは感じ取れる。今までのFDDベースでのビジネスモデルの場合はベースモデルで。HDDを使う環境にあるユーザーには80MBの内蔵モデルをといった感じで選択できる。もちろんHDDはIDEタイプで廉価品を使用。A-Mateと違い、専用ベイはなく本体を分解してそのままポン付け。また拡張バスでもあるCバスは4個から3個に減少。とはいえすでにビジネス機としての役割がメインであったBシリーズであるため1個ぐらい減っても何も問題はなかったはずだ。

☆当時の状況☆

市場の反応はかなり複雑だっただろう。が、98ユーザーは基本的に高モデルを買う傾向が結構あるのでBシリーズよりはA-Mateのほうが売れていたのは明らかである。特に個人ユースになればゲームが出来ることも必須になっていたためそれは仕方ないだろう。それでもBシリーズの価格破壊はかなり強烈で特にBXは法人を中心にかなり売れていただろう。当時としては高速な部類になるi486がこの値段で買えるのは魅力的であったはずだ。またこのあたりから旧シリーズ(特にDやRシリーズ)の中古価格が下落を始めてきた。

i486モデル98Multiの試作機・Pentium搭載A-Mate:9821Ce・Af

9821Ce:i486SX(25Mhz):(93-05):HDD80MB

   ¥378,000~¥488,000

9821Af:Pentium(60Mhz):(93-07・08):HDD500MB

   ¥1,200,000

9821Ceは実質初代98Multiであるがまだ路線が今ひとつ決めきれてない感じもあるモデルでもある。モデルチェンジも主にCPUのみでHDDは未だにノート用で容量も小さく40MBで割高。フロッピードライブも3.5インチモデルで2ドライブ仕様といろいろとA-Mateに比べると片足9801に突っ込んでいるような仕様。それでいて86音源やPEGCは対応と古い仕様と新しい仕様が混在していると言った感じでもある。だが、予めCバスでSCSIカードを持っているようなユーザーにはもってこいで、古い9801を持っていていわゆるPEGC対応のモニター毎買い換えると言ったユーザーは選択肢には上がっていただろう(事実、この9821シリーズから高スペックモニターも発売されており、そういう意味では需要はあったと思われる)。この中途半端なスペックはさすがにまずいと感じたのか、次のモデルから大幅に仕様変更をかけてくる。だが、どうしてもこの2代目Multiまでは市場状況を見るためのテストモデルにしか見えないのだが…。なお、Multiシリーズは最初からCD-ROMが搭載されており、こういった意味でも色々と変換期におけるテスト的なものだったのだなと改めて思う。

さて同時期に発売した98シリーズ初のPentium実装モデルでもあるAfだが、当時としてはそれはそれは最高スペックにふさわしい価格でもありスペックでもあった。このAfは98シリーズで初のメモリ16MBの壁を超えてきたモデルでもあり、まさにWindowsを意識した初の98シリーズと言ってもいいだろう。標準でメモリは7.6MB搭載し、当時のWindows3.1を動かすには十二分。同時にウインドウアクセラレーターも搭載し、それでいて86音源やPEGCも搭載し最強のA-Mateと言ってもいいだろう。HDDも当時としてはIDEでは最高容量の510MBとスキのない構成。だが値段がすごすぎた。さすがに120万円は高すぎるw。当時パンフレットで見たときにさすがに値段にひっくり返った。これは買う人いねーだろうって純粋に思ったぐらい。さらに言えばその後このPentium60Mhzはいわくつきのバグ付きモデルというオチが付き、このAfは正直どれくらい売れたのか今ひとつわからない…。

なお、Afは空冷の関係上通常のA-Mateと違い少し横幅が長くかなりでかく感じた。すでにWindows95が発売後に一度だけ秋葉原で中古を見たことがあるがその重量感はなかなかでさすが120万円と思ったものだw。もちろん中古としても価格は段違いでさすがに買わなかった。

☆当時の状況☆

この2機種はさすがにインパクトはそこまでもなかった。一応Afは初のPentiumマシンということでインパクトはあったが値段のインパクトがすごすぎてさすがにといった感じ。二代目Multiは値段的には魅力的であったが、結局は先に発売されたA-Mateのほうが衝撃も強くそこまで話題にならなかったという感じである。このMultiは次のモデルからかなりテコ入れをされることになるのだがこの二代目も結局テスト販売と言ったところだったのだろう。

Windowsモデルとしての試作機・B-Mate:9821Bf・Bp・Bs・Be(B-Mate)

9821Bf:Pentium(60Mhz):(93-11):HDD340MB

   ¥600,000

9821Bp:i486DX2(66Mhz):(93-11):HDD170MB・340MB

   ¥398,000~¥438,000

9821Bs:i486SX(33Mhz):(93-11):HDD170MB

   ¥298,000

9821Be:i486SX(25Mhz):(93-11):HDD120MB

   ¥268,000

B-Mateはコンセプトが非常にわかりやすく次世代型の9821シリーズとして初めてその路線を示したと言ってもいい。まずフロッピードライブはMultiと同様に3.5インチモデルで統一。さらに1ドライブ仕様にし全モデルをHDD搭載とした。同時にウインドウアクセラレーターも標準搭載にしてきた。

が、9821シリーズ独自のPEGCはオミット、さらに86音源も載せないという仕様でWindowsを使わなければただの高いだけの9801と言った感じで、当時から完全なハズレモデルと言われていて、まったくもって売れていなかった(一部買った方もいたようだが皆が一様に騙されたと思ったらしい)。結局このスペックで買うなら同時期に出た9801二代目Bシリーズで問題ないしソッチのほうが遥かに安かった。さらに言えば初代9801Bシリーズは同時期に値下げしており、そっちを狙うという事もできたため、本当にどっちつかずのモデルと言った感じであった。結局9821Mateと言う殻をかぶっていたものの、蓋をとってみればそれはメッキだったというべきか。ゲームも9801としては問題ないが、肝心の9821としては動作対象外になることが多く(というかPEGCに対応していない時点で動作不可)全く使えなかったという話だ。

なお、メモリはPentiumモデルで最大71.6MB、その他モデルで35.6MBまで拡張されており、通常の486モデルとしては初の16MBの壁を突破したモデルになる。なお、このモデル以降はキーボード・マウスのコネクタもミニDINコネクタ形状に切り替えられ、これ以降発売される98シリーズはすべてミニDINコネクタ形状に切り替わっている。

☆当時の状況☆

実際Windows95の発売は95年末であったので、そこまで焦る必要はなかったとは言えるが、実際は開発期間を含めても4年弱程度しかなかったと考えられるし、そう考えるとこのタイミングで実験的なモデルでもいいので出すしかなかったというのが本音だろう。たださすがに9821と言う名称で最大の特徴でもあるPEGCまで排除するのはやりすぎだった。音源は後付でなんとかなっても内蔵グラフィック機能まではどうしようにもない。これは流石に悪手だったのだろう。後継機種になるX-Mateを発売する際はオミットしたPEGCを復活させ(とはいえ純粋なA-Mateほどの機能はなく廉価版)後付可能な86音源を搭載せずPCM音源搭載という感じでよりWindows対応へ舵を切り、同時に9821としての機能も使えるという形になり、ようやく方向性が決まることになる。

ちなみにこの2年後に98を初めて買う際に当時の友人から「B-Mateだけは絶対にやめておけ」と言われて買わなかったが、今になってはよく分かる。なおその友人が言うには実際に買って痛い目にあった人もいたとのことで、ほんとに罪深いモデルだったのだなとつくづく思う。

コスパ重視の低価格普及機路線へ:9801BA2・BS2・BX2(Fellow)

9801BA2:i486DX2(66Mhz):(93-11):HDD120MB

   ¥338,000~¥378,000

9801BS2:i486SX(33Mhz):(93-11):HDD120MB

   ¥238,000~¥278,000

9821BX2:i486SX(25Mhz):(93-11):HDD120MB

   ¥178,000~¥238,000

Fellowの発売から一年もたたないうちに次期モデルが早くも発売。値段を引き下げCPUはアップグレード。HDD容量も増加し、特に最廉価モデルのBX2に至っては一気に20万を切ってきた。HDDも微妙に容量を増加してきたがこれは市場価格が落ちてきたが故の変更だろう。それでも高スペックモデルがさらに短期間で発売することになってきており、今までの98の発売スパンを考えても明らかに早すぎた。ただでさえでも9821シリーズと併売している状態で購入側からすれば本当にちんぷんかんぷんであっただろう。

ただビジネス用途と言う方向性はある程度NEC側も進めていたのでこれに関しては迷うことはなかったと思われる。もちろん音源はなく完全な法人仕様。フロッピードライブが2ドライブ仕様であるのもそこからよくわかる。このFellowシリーズはHDDの増設が非常に簡単だったため、購入後に追加も気軽に出来ることも悪くなかっただろう。問題は販売スパンの短さだったのだが、NECもなりふり構わない状況になっていたのだろう。それだけWindows95の存在が驚異だったというわけだが…。

なおメモリが地味に19.6MBまで拡張されてはいるが、実際拡張してまで使っていた人はいたのだろうか…。。。

☆当時の状況☆

さすがにこの頃は98シリーズが多くなりすぎていて雑誌を見ている側もちんぷんかんぷんであった。とにかく学生時代はゲームがメインということもあったのでそういう意味ではちょっと使い勝手が悪いかなと言うイメージであった。あとHDDがちょうどこのあたりから標準搭載してくるのだが、実際パソコンをあまり使っていなかったためHDD自体もピンと来ることもなく、ごく一部のゲーム以外ではそこまでお世話になることはなかった。とはいえこの頃からHDDにインストールすぐゲームは大分増えてきており、80MB程度でも持っているだけでかなり違っていたのは明らかである。昔の古いゲームであればそこまで気にしなくてもいいが、この93年ぐらいからは末期の時代だったが、末期が故にFDDの枚数が極端に増えてきており、インストールをしないとゲームがほぼほぼ不可能な感じにもなってきていたからだ。HDDの普及が急激に伸びてくるのはちょうどこの93年末ぐらいからになるが、このあたりから一気に容量が増加してくることになり、そういう意味でもコスパ重視とはいえ98シリーズのHDD搭載モデルが実売価格20万を切ってきたことに意味があったのである。

純粋な9801シリーズ最後の後継機種:9821Ap2・As2(A-Mate)

9821Ap2:i486DX2(66Mhz):(93-11):HDD340MB・510MB

   ¥448,000~¥800,000

9821As2:i486SX(33Mhz):(93-11):HDD170MB・340MB

   ¥328,000~¥458,000

CPUは前モデルからの据え置き(As2に関してはスペックダウン)。だが基盤は再設計されていてようやく完成形になったと言った感じで初代A-Mateのマイナーチェンジと言ってもいいだろう。ただ中身は大きく変わった点があり、A-Mateで初の16MBの壁を突破し全モデル最大71.6MBに。その他機能は前モデルから継承。純粋にA-Mateとしてのすべての機能を継承した最後のモデルになった(一応最終モデルはあるが、PEGCの機能が一部オミットされているため純粋な後継機種はこの二代目A-Mateになる)。

値段もCPU据え置きとはいえ値下がりし、またHDDの容量もAp2は据え置きであるがAs2は容量アップ。事実DX4が登場するのは翌年で、そういう意味では初代A-Mateがかなり高スペックだったということが伺える。As2はほぼほぼHDDの容量とメモリ容量の拡張がメインであるが、A-Mateに関してはC9Wの高価格モデルはA-Mate専用スロットによるSCSIカードを搭載+2倍速CD-ROMの搭載、C9Tはそれに加えてMGA-IIのグラフィックボードを搭載し、価格は下がりながら機能は拡大と言った感じになっている。As2に関しては前年のAsに比べ大幅に値段が下がりさらに買いやすくなった。

ゲームに関しても93年末になってくるとHDD対応のゲームが続々と増えてくる。先に上げたA列車で行こうIV(HDD専用)は同年11月にバトルスキンパニック9821(10枚組)は同年9月に発売しており、A-Mateとしての機能もある程度は分かってきた時期でもあった。またすでにゲームの発売は減っていたが、俗に言う18禁ゲームエロゲー)は同級生(8枚組)(92年12月)の大ヒットから息を吹き返し、その他メーカーがこぞって9801専用で発売を競い合っていた。また同級生はフロッピーディスクが8枚組と当時としてはかなりの枚数でHDDインストールが必須レベルまでと言われ始めたこともあり、このA-Mateの発売はいいタイミングでもあったと言える。同時にこの93年末期あたりから96年あたりまでは98用ゲームの全盛期とも言ってもいいだろう。特に秋葉原や大阪日本橋では過去の名作から現在進行系で出てくる最新ゲームまで、今まで出たゲームのほぼすべてが買える環境にあったといっても過言ではない。このタイミングとA-mateの発売は非常にマッチしていたと思う。まあDOSゲームに関して言えば初代A-Mateでも十分問題なかったので、安くなったA-Mateを中古で買うという方も多かったのではないかと思うが。

☆当時の状況☆

86音源の対応はこの時期になってようやく少しずつ増えてくる。今にして思えば最後に輝いていたのがちょうどこの時代なのではかと思う。正直98の実質の終了(というよりもDOSベースでの98シリーズの活用)はもう少し先ではあるが、NECの販売戦略の苦しみからもすでにNECとしては先は見えていたのではないかと思う。とりあえず売れるときに売れるだけ売れと言った感じなのは明らかである。

事実、結果的にはA-Mateは短命でこの次のモデルで終了となる。やはりコストが掛かりすぎることや、この先出てくるWindows95での86音源の対応問題もあったのだろう。また設計が旧9801シリーズの互換性を意識するあまりガチガチすぎたせいかPentium系やその他足回りにうまく対応しきれなかったというのもあるかもしれない。だが、実際のところ88シリーズの終了時に98シリーズへとユーザーに移行してもらったときと同様(当時のRシリーズやDシリーズ、失敗はしたがDOやDO+がこれに当たる)A-Mateを含めた旧来の98シリーズからWindows対応への9821シリーズへと移ってもらいたかったのかもしれない。

なにせA-Mateの要でもある86音源はWindows3.1には対応してくれたが、Windows95ではP&Pに対応せずまたPCM音源周りがかなり調整しにくかった。また自信を持って発表したPEGCは思った以上にコストも掛かったのだろう。そう考えても独自色を入れ込んだ9801シリーズの本流としての9821として生まれたA-Mateが結果的に短命に終わったのは仕方がなかったのかもしれない。この後にテスト発売の市場調査モデルとしか思えなかったMultiシリーズがCanbeシリーズとしてまさかの成功をしたところを見ても、コストと設計思想はどうもならなかったのだなと感じてしまう。

なお余談だが、このA-Mateでも高品質モデルのAp2/C9Wを当時購入したが、実に購入したのは95年4月頭。すでに三代目A-Mateも出ていたが、この二代目A-Mateは結構店側も仕入れていたのだろう。特に高価格モデルは高かったため売れ残りも多く、定価で70万もしていたのがなんと24万程度で購入できた(もちろん新品)。発売して一年と少しではあるが、98シリーズがこんな短期間でここまで暴落するのは今まででは考えられないことで、すでに95年の時点で98の時代は終わりつつあったのは明らかであった。まあ、当時はまだAT互換機ではゲーム等やれることが少なかったことや、Pentiumマシンはまだ高価格すぎたこと。過去のゲームを考えてもまだ数年は98の時代が続くと思って買ったのだが、実際それは正しくだいたいWindows95が発売して1年半ぐらいまではパソコン環境は98のDOSを中心に動いていたのである。

 

 

ちょっと長くなりすぎたので今回はここまで。正直一年分しか書いていないのだけど、モデルが多すぎてどーにもならん。。。あと3回ぐらいはやるかもしれん。。。