サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

ファミコンエミュレータ、その移り変わり

ファミコンエミュレータの歴史はかなり長く、実はMS-DOS(AT互換機用)時代から(年代的には1993年ぐらいからと思われる)にもわたる。そんな中Windows95になってからWindowsの普及によりエミュレータも急激に普及していくわけだが、当時リアルタイムに育った方々はいかにしてこのエミュレータに触ってきてたのか。当時の体験から話してみようと思う。

Windows95幕開け

さてWindows95が普及し、インターネットがぼんやりと始まった頃。ちょうどWindows95SP1が出てきたあたりからそういった流れが出来てきていた。まだまともに始まってもいないのにインターネットに繋ぐという酔狂な方々は現れる。自分もその一人で日本でまだインターネットにつなぐという人間が多分に1%以下の時代に早速飛びついた。もちろん最初は意味不明で今と違ってググれも出来ない。そんなネットの荒波を渡るのだが、当時は日本サイトも本当に少なくあるといえば海外の謎サイトや怪しげなサイト。その流れでエミュレータの紹介しているサイトに辿り着く。そこからなにやらパソコンでファミコンができるみたいだぞ?と言ううっすらな霧のような情報から始まっていくのである。

そこで情報を仕入れていくのだが、どうやらエミュレータというのは

本体と言うソフトウェアとROMデータを利用する

ということがなんとなく理解できた。あとはそこから調べていくのだが、いかんせん当時はエミュレータ関係の日本語のサイトは皆無。本当にゼロである。そんなバカな!って思う人が大半であろう。だが実際にゼロだったのだ。そりゃ当たり前だ。まだインターネットと言うのが言葉であるものの、専用書籍も皆無、情報もなし、当然日本語サイトはまともなものは皆無。普通に日本語サイトが無い時代であったとしても大学の授業の一環とかそういったレベルのもの。今からしてみれば子供のやってるレベルだ。

なのでとにかく調べるには自力でやるしかなく、海外のサイトをひたすら渡っていた。周りの知り合いも誰も知らないし当時の怪しげな雑誌も全く紹介がなく、多分自分がインターネットをスタートした時期が早すぎたのだと思う。頼れるのはもはや海外サイトと学生時代に学んでいたそこそこの英語力だけだった。日本語対応ソフトももちろん無いし、本当に頼れるのは己のみと言うすごい環境下であった。

(しかし思えば当時あの惨状の中、自力で一人だけでよくやったと思うわ…)

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なお、この後(97半ば~98年頃)当時有名であったエミュレータ系のサイトが登場することになる。

・街の灯

・えみゅりんくわーるど

・大将のページ

・志保ちゃんのエミュレータニュース

・かもがまうはぅ

このあたりの名前を聞いて懐かしい人もいるのではないかな?自分がさまよっていたのはこれらサイトがまだ出きる前、日本語サイトは皆無で海外サイトに行くしか無い時代なのだ。

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そんな中ようやくひとつのソフトにたどり着く。

Nesticle95

Windows95時代にファミコンエミュレータを触ったことのある人なら誰もが触ったことがあると思う。それぐらい当時としては有名なソフトで、もともとはDOS版があったのをWindows95版にチューニングしたものであった。このソフトはとにかく軽く、Pentium100Mhz程度でも十分動作し(ただし30FPS程度でないと安定は厳しかった)お世話になった人も多いと思う。試しに検索してみたけどどうやら公式はすでになくなっている模様。たしか黒色バックの白文字の英語サイトだったと思う。すでにWindows95版が出たときはほぼほぼ完成しており、動かないソフトは一部の特殊マッパーを使ったものとディスクシステムのみ。ほとんどのソフトは動作し、またどこでもセーブ機能やフレーム加速機能も搭載。今のエミュレータの基本機能の礎になったと言ってもいいだろう。唯一の欠点としては当時はまだDirectXがまともに対応したものがなく、コントローラだけはSoundBlasterコネクタを使った直接接続のものしか対応してなかったこと。ここだけがネックであった。

そもそもUSBはまだ出たばかり&時期的にまだ採用されていないパソコンも多かった。USBが本格普及するのは98NXの発売を待つことになるのだがその98NXもまだ発売していない。また周辺機器もほとんどなく皆無と言っても良い。ゲームコントローラー一つ見てもまだ存在していなかった。

ただ当時のパソコン環境はサウンド機能はオンボードで存在してなく、サウンドカードを使っており、また当時はまだISAボードがあったため、大半がSoundBlaster16かAWE64を購入していたのでこれに関しては特に困ったことはなく、単純にそのコネクタ対応のコントローラが操作関係があまりよろしくなかったことがネックだったぐらいだ。選択肢はマイクロソフトパッドのみという有様。またこれがクセが強くていわゆる外産ならではの仕様。結局当時はパソコンでゲームをやるにもクセの強いコントローラーかキーボードという選択肢しかなかったのだ。

さて、そのNesticle95であるが完成度は抜群で操作方法と設定方法さえわかってしまえばあとは楽。とりあえず自分でマニュアルを作って操作方法等はすべてここから学び、知り合いにも話したりしてすごく狭いコミュニケーションの中で情報をまとめていっていた。そんな中いろいろなファミコンエミュレータにも触るが、結局当時はこのNesticle95を超えるエミュレータはなかったと言ってもいいだろう。一応パソファミというものもあるにはあったが、なにせシェアウェア(有料)。当然こんなものは当時の自分からすれば最初から除外である。ただ完成度から言ってもNesticle95はずば抜けており、それ以外を触る意味がなかったのだ。

そんな中、特殊ROMを動かしたくなるのが世の常。俗に言うグラディウス2や女神転生2がそれにあたり。これらソフトはNesticle95で動かすと画面が崩れたり、音がまともに出なかったりしたのだが、これらを動かすためだけに選んだエミュレータもあった。

BioNES

正直言って選択肢がこれしかなかったというのが本当の理由である。試しに動かしてみたところ結構悪くなかったのでこれを使っていた。とはいえ速度安定性等が少し悪く、所々で早回しになるような感じもあった。が、特にそこまで問題はなく使えていた。とりあえず特殊マッパー系のソフトだけと考えればそこまで悪くなく使っていた。

という感じで当時はNesticle95とBioNESの併用というのが自分たちの周りの基本であった。ディスクシステムが動かないのは厳しいが、この状況はかなり長く続くことになる。

Nester

そんな中突然現れたのがこれ。Nesticle95であった癖もなく非常にそつなく動くエミュレータであった。このNesterは派生系が多く、NesterJとして日本語化、NNNesterJとして更に派生していく。特にNNNesterは完成度が相当高く、この時点でファミコンエミュレータとしては一つの完成形を見たと言ってもいいだろう。しかもすでに時代はPentiumIIIへと移行しており、エミュレータ自体の重さも全く気にならない。このNNNesterはちょうどWindowsが98になってそこからインターネットやWindowsを触ったユーザーが好んで使っていた感じがする。なにせ日本語になっているので取っ掛かりもしやすく、それでいてどこでもセーブや加速機能等の基本機能はすべて搭載。またこの頃からエミュレータ関連の雑誌が雨後の筍の如く出てきており、その雑誌で一押しされていたからと言うのもあるだろう。そういった外的要因もあり、ここから触ったという人も多かったと思う。

とはいえ、自分のような昔から触ってきてるユーザーからすれば日本語化された以外はNesticle95とそこまで差もなく、結局あまり触らないと言う感じだった人も多いと思う。

そして最後に選んだのがこれ。

VirtuaNES

完成度はすでにNester系で完璧になっていたのだが、このVirtuaNESの最大の特徴はディスクシステムに完全対応していること。また日本人が開発されてるとのことでデフォルトで日本語設定。正直細かい設定含めて完成形だと思います。このエミュレータが出てきたのは2000年を回ってから。完全体が出るまでやはり6年近くはかかったということになります。その後ファミコンエミュレータはこれを最後に触れていません。正直な話NNNesterJやNestopiaでも問題ないと思います。最後は自分との感覚だと思いますので。

まとめ

というわけでファミコンエミュレータの流れを簡単に話してきました。自分の周りでは自分が中心に広めたということもあってこんな感じで使ってきました。

Nesticle95

BioNES(特殊ROM用)

NesterJ&NNNesterJ

VirtuaNES

最後に行き着いてるのがVirtuaNESというのは結構珍しいと思います(Nestopiaの人が多いと思う)。ただここまで来るとほとんど違いはないでしょう。自分は単純に一番最初にVirtuaNESと言う終着駅についてしまった。それだけだと思います。ただ初期の頃は本当に苦労しました。なんせほとんど情報がない中探すしかなくて何やっていいのかほんとさっぱりわからなかったから。まあ当時のあの苦しみがあるからこそ、今のエミュレータは比較的感覚で設定できるのかなと思えば悪くはないですがね。