サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

90年代から2000年前半までに使っていたCD-Rドライブ一覧 番外

今回は自分は使っていなかったけど、当時知り合いが購入して使っていたドライブの体験談を語ってみようと思う。なにせ当時は55SからずっとTeacドライブしか買ってこなかったので実は他のメーカーは全く使ったことはなかったのです。ただ、当時の実体験から言うと大体がヤマハのCDR-400からスタートしてそこから分かれていったという感じでした。そんな分岐した方々の話を当時の記憶から話してみようかと思います。

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Plextor:PX-R412C(R12W4)キャディ式

プレクスター伝説の始まりとも言えるドライブ。YAMAHAのCDR-400が発売されてから各社虎視眈々と狙ってきていたのだが、そんななか一気にトップに躍り出たのがこのプレクスターのCD-Rドライブであった。なにせ読み込み制度がかなり高く、そういった意味でも好まれていた。当時のCD-Rドライブはドライブによっては読み込み制度が悪いものがあったり、オーディオCDに至っては読み込みの際に速度を上げるとノイズが乗ったりするものもあった。そんななかこのプレクスターのドライブはそういった制度も高く最高速度でも安定し、また当時としては読み込みが12倍速というのも大きかった。当時のCD-Rドライブの特徴としては読み込み速度=書き込み速度のせいぜい2倍程度というのが当たり前で、そんな中当時としては珍しく12倍速という速さが光った。もちろん早いだけでなく先に話したように精度の高さにも定評があり、発売してから口コミや当時としてはまだ少なかったが個人サイト等のネット記事でも評判がよく、売れに売れたと言ってもいいだろう。

実際のところ特にPSソフトのバックアップがかなり強かったこともある。PSは御存知の通り初期モデルに近いものはレンズの読み込み制度が悪く、CD-Rメディアの場合反射率もあるが4倍速で焼くと読み込みミスが発生することも多かった。そんな中このプレクスタードライブは4倍速で焼いても問題なく、とにかくそういった方々にも人気があったと言ってもいいだろう。もちろんマスタリング作成にも定評があり、最初にだしたドライブからすでに完成度が高く勝ち組となっていくのであった。

なお余談であるが、4倍速ドライブは各社から色々出ていたが、実際のところPSに限定して言えば4倍速で焼いて安定するのはこのプレクスターのドライブに前回話したTeacの55S、あとは今から語るソニーの948Sぐらいしか当時は安定しなかったのである。

SONY:CDU-948S(R8W4)キャディ式

このソニーのドライブは当時の話ではPSソフトの開発の際に一旦テストマスタリングで作成するときに推奨されていたドライブと言われていた。実際のところソニー製ドライブは2倍速時代から完成度がかなり高く安定していたのであるが、困ったことに一時期ディスクアットワンスに非対応という頭の悪いドライブを出していた時期があった。確か926Sだったかのモデルが非対応で当時PSのコピー防止か?と言われていたぐらい。

当時はベストモデルとも言える924Sの正当後継機種でもあり、このドライブもかなり当時売れました。ソニー製のドライブはかなりOEMとしても採用されていたので名指しで買わなくてもOEMとして買われた方も多かったと思います。オーディオマスタリング機能やPSでの相性問題等、とにかく安定という意味では重宝した方も多いのではないかと思います。

Plextor:PX-R820Ti(R20W8)・W124TS(R32W12RW4)・W1210TS(R32W12RW10)

初代が出てから順当に進化していったプレクスターのCD-Rドライブになる。大体4倍速でプレクスターの初期ドライブを選んでいた方が買い替えに選んでいたのがこちら。人はなれると贅沢になり4倍速でも遅く感じるようになったため、買い替えたという人が多いだろう。8倍速になると焼き時間も約10分程度。CD-Rドライブは実際セッションのオープン・クローズがあり、そこで焼き時間が純粋にどのドライブも同等の時間かかるため、結局の所8倍速以上になると実はそこまで焼き時間に差は出なくなる。例えば12倍速や16倍速を使ったところでせいぜい1分~2分程度であり、ソレ以上はほぼほぼ誤差になる。なのでこの8倍速の時点でほぼほぼドライブは完成形になったと言っても良い。

実際この後にプレクスターのCD-Rドライブは12倍速と高速化はしていくが、その後はATAPIへとシフトしていく。それでもプレクスターのCD-RドライブをSCSI時代から使ってきた方はこの最後の12倍速モデルを購入してたと思う。というのもいくら焼き時間が1~2分程度とはいえ後期モデルは安定性も上がり、特にATAPIモデルが出始めたということもあってこだわっているユーザーはやはりSCSIモデルを買っていたからだ。またプレクスター製のドライブの特徴といえばやはりPlexter Managerの存在もあるだろう。強力な音楽CDのリッピング機能があるソフトでこれを目当てで買い続けていた方も多かったと思う。実際のところ12倍速モデルは発売日の差や当時はまだCD-RWはそこまで使う人も多くなかったためW124TSを買っていた人のほうが多かったと思う。

Plextor:PX-W8432Ti/CR(R32W8RW4)ATAPI

こちらはSCSIモデルと併用して突然発表してきたATAPIモデルのCD-Rドライブ。当時から考えると「あのプレクスターがATAPIでCD-Rドライブ出してきたよ!」「まじかよ!」って感じで自分の周りでも騒然としていた。とはいえ、まだSCSIが標準の時代。自分のようなマニア集団はまったくもって目も向けていなかった。

外箱もカラフルですげえ派手派手な感じ。クリスマスかよ?って感じの箱でとにかくインパクトはすごかった。が、実際は結構売れていたようである。SCSIという敷居の高さで替えなかったユーザーは多かったようでなかなかに売れていたとのこと。時代的にもPentiumIIIが安定し、チップセットもi815やAMDの初代Athlon系になったことでATAPIの速度もかなり向上しまた安定してきたこともあったのだろう。自分たちのような老害チックな方々の不平不満を尻目に安定性等も全く変な話も聞くこともなく、単純にプレクスターのドライブとしての性能は十分に発揮していた。企業的にはSCSIという狭い範囲よりはATAPIに広げていったほうが売上も伸びると判断するのは当然であるので、ブランド力を考えても売れて当然と言ったところだろう。

なお、16倍速以上のドライブに関してはATAPIのみになるため、SCSIを頑なに使っていた方々も1610TAからはATAPIモデルへと移行する。そんな中話を聞いてみたところ、決して何も問題なくSCSI時代と全く変わらない使い方で行けていたということ。SCSIの足かせが外れてATAPIになっても安定性も高く非常に良いドライブだったとのことです。

YAMAHA:CRW3200(R24W12RW8)ATAPI

YAMAHAの最後のCD-Rドライブである。CD-Rドライブの初期時代にはCDR-400で一斉を風靡していたYAMAHAドライブも後発のプレクスターTeacに追われてその売上は落ち込んでいたのではないかと思う。実際6倍速や8倍速ドライブも出していたが、存在感は正直あまりなく周りでも買ってる人はいなかった。

そんな中起死回生で出してきたのがこのドライブ。当時CD-Rドライブもどんどん値段が落ちていっており、品質というよりも速度が重視になってきていた。そんな中品質という点を重視して高品質を売りにだしたきたのがこのYAMAHAのドライブであった。

当時としては書き込み速度はともかく読み込み速度が24倍速と比較的遅く、すでに32倍速読み込み、書き込みも16倍速という時代に少々低スペックのような機体を出したわけだが、このCRW3200にはAudio Masterというぶっ飛んだ機能が付いていた。

この機能は音質を極力向上するという目的で書き込み速度は4倍速固定。音に拘るユーザーのための機能と言ってもいいだろう。うろ覚えではあるが、データ自体の線速度を広げるとかそういった機能もあったような気がするが、その場合は74分最大まで記録できず、60分程度の記録になるとかいう感じであった。一応線速度を広げるということでデータとして使った場合も長期間保存できると言ったメリットもあった模様。

あとCD-Rメディアの記録部でない場所にお絵かきみたいな感じでちょっとした画像もかけるといった機能もあった。正直インパクト以外の何に役に立つのかわからない機能ではあったが…。

さて、このドライブであるが実は当時知り合いが一人だけ購入していた。Audio Masterというよりもマスタリングの強さから買ったらしく、データ的には500MBぐらいの保存にはなるが、PSソフトのバックアップ等でもかなり強かったらしく、比較的読みにくいメディア等でも普通に読み込めたということも聞いた。ただAudio Masterの音質に関しては正直なんとも…。すでにMP3が普及し始めており、音に拘るならまだしもMP3による使い勝手の高さのを選ぶ時代になっており、この機能に関してはあと1年早ければなぁって感じだった。

そういう意味もでも非常に惜しいドライブだったのだが、結局YAMAHAはこの後にAudioMaster対応ドライブを数個発売するもCD-Rドライブ市場から撤退をすることになる。市場はDVD-Rドライブへとシフトしており、そんな中高品質を売りに出したわけだが時はすでに遅かったのだ。

Plextor:PlexWriter Premium PX-W5232TA(R52W52RW32)ATAPI

Plextor:PlexWriter Premium2 PX-W5232TA(R52W52RW32)ATAPI

こちらは当初最後のプレクスターのCD-Rドライブとも言われていて、先に語ったYAMAHAのAudio Master機能やPlex Manager等も搭載、最後の最強のCD-Rドライブとして発売された。確か当時は結構な価格だったのに発売と同時にほぼほぼ売り切れたんじゃないかな。随分と品切れが続いてなかなか次期ロットも入らないという感じで最後の最後ということで新モデルが発売されていたと思う。

最後の音楽CDにこだわった設計ということで発売されたのだが、これも相当数が少なくまたかなりの高価格(それでも2万程度ではあったが、当時はすでにDVD-Rドライブが1万を切り始めており明らかに高価格だった)だったこともあったのだが、発売後は瞬殺。結局最後と言ってもいいかな、国産CD-Rドライブの歴史に終止符を打つドライブとなった。これに関しては知り合いは誰も買っていなくて(もうDVD-Rに皆移行していた)直接の評価はわかりませんが、かなりの高品質だった模様。今でも良品はかなり高値で扱われており、音楽CDにこだわる人は当時買っていたことでしょう。ただ一般的にはすでに音楽CD自体が斜陽気味でもあったため、CD-Rドライブ専用ということでそこまで注目はされていなかったと思います。

自分も音楽CDといっても、一旦マスターからWAVで読み込んでさらにAudio Masterで書き込むといった手間や、結局MP3で管理している関係もあってこのドライブに関しては完全にスルーしていました。

 

 

 

以上になります。

CD-Rドライブは結局中~後期は品質・安定のプレク、安価・安定のTeac、その他メーカー品搭載のドライブ(主にリコー)といった感じで動いて言ってたような気がします。まだまだ高品質が必須だった時代だけにこの頃は国産ドライブが多社に渡ってあり非常に面白い時代でした。こういった光磁気ドライブもある意味発展中だったということだったのでしょう。そして国産メーカーは役目を終えて撤退し今に至ると。