サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

CDRドライブが出たばかりのあの狂っていた進化スピード

今でこそBDドライブが安価になり、そのBDドライブもメディアの容量が25GBからで当初は問題なかったものの、HDDが4TBが当たり前になってしまって25GBといっても霞んで見えるようになった。では光学ドライブがまだ出て間もない頃はどうだったのか?

今回はCD-Rドライブがまで出てから間もない時代の頃を語ってみようと思う。

さてCD-Rドライブが出て間もないと言っても、初期の初期は値段も狂っていて(20万円以上)とても素人に変えるような代物ではなかった。この頃のパソコンはWindows95も以前でWindows95がそろそろ見えてきた時代。Windows95時代も安定してきた頃でようやく4万円を切り始めてきた(ただしまだ2倍速や等速)。ちょうどNT4が発売していた時期でもある。HDDの容量もまだ500MBから1.2GB時代で(TBではない)容量もまだまだ少ない時代。CD-Rドライブ普及前はまだFDD等に保存していたのである。

この頃のパワーユーザーは大半がMOドライブを持っており、MOドライブにデータを一時的に保存するという感じであった。MOドライブは230MBが標準の時代で値段も3万円前後ということでかなり普及していた。230MBといえば非常に少なく感じるかもしれないが、当時の使用データは1GBでも事足りる時代で、230MBもあれば十分バックアップ等はできるのであった。

そんななか98年を境目に一気に情勢は変わっていく。まずCD-Rドライブの価格が急激に落ち込んでいくのだ。技術革新を言うのは恐ろしく値段も急降下。2倍速であれば2~3万、4倍速でも4万強程度まで値段が落ちてくる。もちろん今の価格から見たら恐ろしく高いが、当時はその他パソコンパーツも比較的値段が高かったため、相対的には魅力的な価格になっていた。

その当時のHDDは標準的には2GB程度で2GBでも余裕がある使い方ができていたのに、CD-Rドライブを購入すれば640MB(または700MB)という大容量メディアが使用可能になるわけだ。当然周りの友人たちもタイミングを見計らって買うわけだが、この頃の情勢は大体こっちで語っているのでそちらを読んでもらいたい。

今回はこの時代にどういった感じでCD-Rドライブを活用していたかである。

まず、当時としてはほぼ無限と言ってもいい容量でもある640MB(700MB)を一度のみの書き込み専用とは言え利用できるわけである。当時はメディアも高く一枚200円(秋葉原:エフ商会価格)であったが、それでもMOやFDDに比べれば格安。データバックアップはもちろんだが、むしろCD-Rドライブはデータもさることながら、当時はまだ主流でもあったCDウォークマンやカーCD用のオリジナル音楽CDを作成するというのもかなり占めていた。なにせMDという物はあったが、MDはカーオーディオとしては少々後発でまたコンポもちょうどこの時代にピークを迎えていたが、後発メディアが故にどうしても設備投資に予算がかかりすぎること。家用でMDコンポ、外用でMDウォークマンと結構お金がかかる上にまだ当時はMDコンポも高かった。ただCDとなると話は別。すでに価格もこなれており、CDウォークマンは1万強から、コンポに関してはラジカセとの選択ができた上にラジカセに関してはすでに持っている人も多く、追加投資が携帯型のみでいいということでかなり安くついた。ただ当時のCDのデメリットを言うなら買ったCDしか使えないこと。これが非常に面倒でいちいちCDを交換しないといけなく、またオリジナルCD等は当然作れなかった。

だが、これがCD-Rドライブの購入で解決される。お気に入りの音楽のみを編集して作成してしまえばかんたんにオリジナルCDが作れるのだ。昔であればダビングでカセットテープやMDに録音して編集していたものがパソコン上でかんたんに作れる。このオリジナルCD作成ができることでCDウォークマンの使う幅が広がった人も多かったと思う。自分はCDがウォークマンはこの理由であまり使っていなかったのだが、オリジナルCDが作れるようになってからはかなり使用頻度が上がり、MDウォークマンをほとんど使わなくなった。

またデータの保存もかなり強化される。なにせいままでは230MBが最大だったのが640MBがスタートになるわけで、とにかくHDDに溜め込む必要もなくなるため、データの保存はすべてCDへと移行された。ちょうど98年頃からCD-Rドライブが普及しだすのだが、実は97年頭にはすでに一部のメーカー品パソコンでは普及が始まっており、例えば9821Ct20やPanasonic系のパソコンでは2倍速とは言えCD-Rドライブが採用されている。もちろん価格も木っ端微塵の価格ではあるが、すでに普及の波は静かに始まっていたのだ。これが一年弱で一気に価格が下がり、俗に言う最低限のスペックの4倍速の価格ダウンで一気に普及していくことになる。

とは言うのも、当時のCD-Rドライブはとにかく不安定で使用中はほぼほぼパソコンの利用は不可能になる。2倍速ともなると最大で35分程度はパソコンが使用不能になる。これでは非常に効率が悪い。だが4倍速まで高速化されると使用不能になるのは最大でも20分程度。このあたりが普及のタイミングと言ってもいいだろう。

そんななか主にオーディオCD作成をメインにしつつデータ保存というのが当時の使い方出会ったと思う。また中にはWindows用のゲームやPS、SSで色々アレなことをしていた人も多かっただろう。当時のCD-Rドライブの使いみちはそんなものだったのだ。

その後99年には8倍速がデビューし、この8倍速時代には名機と言われるCD-Rドライブも多くCD-Rドライブの世界は黄金期を迎えることになるのだ。8倍速ともなると10分程度で作業は完了するので更に効率は上がり、またこの時代になると2台同時同データ作成機能を持ったライティングソフトも出てきていたので、中には2台同時でフル稼働させながらCD-Rドライブを使っていた人もいただろう(自分は最大3台同時で稼働させていた)。

なお過渡期はちょうど99年から03年ぐらいだろう。この時期はMP3プレイヤーもようやく出てきたがまだまだ値段が高く容量も16MBや32MBと言った感じでアルバム1枚も入らないような容量。ちょうどこの時期に各社のCDプレイヤーがMP3対応型を発売してきて、CD-Rメディアにフォルダ単位でアルバム毎にMP3データを焼けばそのままCDプレイヤーがMP3プレイヤーになってくれるというポータブルCDプレイヤーを続々と発売してきた。今で言えばCD-RメディアがそのままSDカードになってスマホ等で音楽を聞くのと同じと思ってくれればわかりやすいだろう。結局は最終的にはipodの大ヒットとともにポータブルCDプレイヤーをその役目を終え、静かに幕を引くことにはなる。

今でこそデータは大容量と化したHDDに保存し、音楽はWAVでCDに焼き込むではなく、MP3にしてiphoneや泥スマ等で聴くことが多くなった。それでもまだ日本はCDの購入率が非常に高いという。まだまだ若年層もCDを購入する人が多いということだ。まあデータ購入になるとプロテクトがかかってるからやっぱり原盤がいいかなって人も多いとは思うが日本人はやはりコレクター的要素が強いのだと思う。ただMP3にした場合はジャケット等の設定をするのが結構面倒なのだが、まあそれはまた調べてくださいという感じか。

ちょうど95年から2000年まではパソコン関係がすべてにおいて加速度的に進化していった時代だったと思う。CPUは486からスタートしていつの間にかPentiumIIIまで、光磁気メディアは230MB MOが標準だった時代からCD-Rを経てDVD-Rへと変貌。HDDはどんどん大容量化していくが、それに伴ってFDDは少しずつ減っていき、ほぼほぼなくなる。わずか5年であるが一気に進化していった。同じ5年でも85年から90年の間といえば、8bitPCから16bitPCへと進化、HDDはまだまだ普及には値段的にも高すぎて、FDDがせいぜい5インチ2Dから3.5インチ2HDになったぐらいか。そして2001年からの進化のスピードを見るとやはり90年代後半と比べても非常にゆっくりとしたスピードであることは明白。WindowsXPがあれだけ長く使われていたことがすべてであろう。

パソコン業界からすれば異常な90年代後半をリアルタイムに体感したがゆえにあの頃を思い出すと少しだけ懐かしさを感じる。確かに今はかなり進化したが、やはりその進化のスピードはあの頃に比べるとゆっくりになっていて、あの一足飛びで進んでいた狂った時代を味わった側からすれば物足りなさもあるんだよな。スマホも結局は快適になるという方向性へは進んでいるが、劇的な進化が無いという意味では刺激が少ない。ぶっちゃけて言えばiphoneも根本は5Sで完成されているからそういう意味では8年間変わっていないということになるんだよな…。