サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

レトロPCを今から買おうと言う酔狂な方々へ② X68K編

 今回はX68K、通称ロクハチを語ってみようと思う。

setoalpha.hatenablog.com

ロクハチの場合は、前回話しをした98シリーズとは違い、むしろ本体を探すほうがかなり厳しい。はっきり言ってしまえば、ロクハチは本体を準備するよりも、エミュレータで普通に動かしたほうが敷居がかなり低い。また、ゲームをしたいのであれば前回も話をしたプロジェクトEGGがさらに手っ取り早い。だが、それでは面白みもクソもないので、一応今回もエミュレータを使うこともいれつつ説明していこうと思う。

そもそもロクハチの場合は、シャープが公式でOSやBIOS等のイメージファイルを配布しており、エミュレータで動かすことで考えれば非常に敷居が低い。もちろん、それなりの設定等が居るのは必要ではあるが、それでも敷居の低さは別格であろう。まあ、98で言うDOSと同じ扱いであるHuman68Kの基本操作を覚えるのは必須であるが、そのあたりの設定は98と違い比較的楽で、98のようにConfig.sysの設定も特にいらないし、むしろエミュレータの場合は最初のSwitchコマンドからの基本設定さえシッカリやってしまえば、あとは特に何もいじるところはない。エミュレータの特性上メモリがほぼ無制限に載せられるので、Switchコマンドからメモリだけ最大にしておけば、特に問題はないはずだ。

エミュレータの選択は色々あるが、総合的に見てXM6かその派生版でいいと思う。たまにゲームがバグることはあるが、大半は動作も安定していて特に問題なく動いてくれる。他にもゲームのインストール等もあるけど、このあたりの知識は98シリーズと似たような感じで、ある程度は調べてやれば問題ないという感じでもある。ただ、基本ロクハチはFDD起動してもそのままメモリーに直接突っ込んでくれるゲームも有り、中には最初の初回起動時にディスクを交換するにつれてどんどんメモリーにぶっこんでいくので最終的にはゲームがオンメモリーで動くというゲームも多数ある。例えば初期のグラディウスは初回の読み込みが終わればその後はディスクはオートイジェクトされてオンメモリーで動くし、ストII餓狼伝説SPも8~10枚程度のフロッピーを初回に全部読み込ませればその後はメモリー上で動くので、読み込みなんて無くなってしまう。当時はメモリーは基本2MB入れて、よく追加しても4MBぐらいだったが、エミュレータ上であれば制限はないので12MBとか突っ込んでゲームは全部オンメモリーで動かすというのもありだろう。基本HDDやMO等のイメージを作成しなくても快適にゲームが出来るようになるというわけだ。

という感じで、ロクハチはすでに公式である程度配布していてくれているので、あとは限りなく黒に近いグレーゾーンサイトあたりからイメージファイルを持ってくればほぼ問題なく動く。普通に楽しむのであればこれで十分問題ないと思う。

さて、問題は実機にチャレンジする場合。

そもそもロクハチの実機の場合は大きく3つの問題点がある。1つ目は

・電源周りが非常にやばい

ロクハチの時代に作られている電源周りは当時の電解コンデンサが粗悪品が多い時代で、ほぼ確実にロクハチの電源周りのコンデンサは液漏れして壊れていると言ってもいい。つまり、ヤフオク等で買うとしてもまず最初に電源含めたメンテ品を買うことが必須になる。仮に今動いているからと言って、ノーメンテのものを買えばまず間違いなく数年で動かなくなるだろう。

そして2つ目の問題点。こっちは更に厳しい

・そもそもロクハチは5インチFDDが基本

5インチなんてもはや売られていない一品で、仮に買ったところでディスクが全く使えないという本末転倒になりかねない。これに対しての対処法は1つしかなく、Compactシリーズを買うと言うことしかない。厳密には外付けの3.5インチFDDを買うという荒業もあるが、そもそもこっちのほうが数が少なすぎて見つからないという状態で、結局はCompact系として発売されていたXVIか030しか選択肢がない。

さらに困ったことにCompact系はまあヤフオクでもそうそう出てこない。5年以上前はちょこちょこと数ヶ月おきにメンテナンス完了品が出てきていたのだが、今の時代になると本当にガチで出ない。出たとしてもノーメンテ品で、自力で電源周り含めたメンテが必要でココまで来るとそれ系の知識も必須になり一気に敷居が上がる。正直勘弁してほしいレベルである。

さらに言えば、メンテ済ロクハチは値段も高い。最低でも3万は覚悟が必要で、また機種によっては別途SCSIカードも必要だし、MOも当然のようにいる。一応SUPER以降はSCSIが標準搭載なんだけど、それを加味してもあまりにも予算がかかりすぎるというのが大きい。SCSIカードも普通に5,000円以上と言うこともあり、98シリーズに比べるととにかく初期投資がかかりすぎるのも難点である。まあ、当時に比べれば全然安く入手は出来るのだが、今これだけ値段をかける価値があるのか?と言うと微妙な感じにもなる…。

そして、そんな中苦労して集めたとしても最後の最後に更に厳しさが増す。3つめは

・解像度が結構特殊

これがとにかくきつい。当時のモニターはもはや寿命的にも論外なのでダメとして、問題はこの解像度。ロクハチはゲームの大半が標準解像度でもある512 x 512で表示されるのだが、この解像度が結構クセモノで、現行の液晶モニターではその大半が誤認して認識する。大体、512 x 512という解像度は今の液晶モニターでは存在しないので、誤認するのは仕方がないのだが、800 x 600で誤認してくれればいいのによりにもよって640 x 480で誤認する始末。結果として、縦ラインが32ドットほど消えてしまい、この消えたドットの調整は不可能。結果常時縦32ドットが映らない画面のまま動かすことを余儀なくされてします。ゲームだともちろん上と下で16ドットずつ映らないし、ゲームによっては(と言うかゲーム大半が)まともに出来なくなる。これを解決するにはごくわずかの対応している液晶モニタを買うか、コンバータを買うかになる。

ただ、液晶モニタは年式も古くレア物になるので実質不可能。となるとコンバータなのだが、このコンバータが電波新聞社から出ているXPC-4と言うものになるのだが、結構高く、3万円強からと言う値段。この時点で本体価格やその他含めると初期投資予算が7万近くなる。ま、自分は数年前に比較的安価でCompactXVI+XPC-4を手に入れたが(それでも5万弱はしたが)正直今からここまでやろうとするのは厳しいと思う。

結論から言えばここまで投資するのは無駄だと思う。当時に本当に思い入れがあるとかそういう人でなければエミュレータで十分だと思うし、ゲームだけでもであればプロジェクトEGGの方が気軽にできる。この実機がほしいと言う人は当時どうしても欲しかったとか思い入れが無ければ買うだけ無駄だろう。むしろ実機が欲しかった人も公式サイトからOSのイメージファイルを入手して色々とネットの波からイメージデータを探してくれば、当時の実機並に楽しめることは可能だし、そういう楽しみ方をしたほうがいいと思う。

98シリーズとは違って、環境を整えるのがあまりにも敷居が高いのがロクハチの現状でもある。そんな中どうしても実機と言うこだわりさえなければ、エミュレータで当時を思い出しながら触ってみるのも一興であろう。