サブカル回顧録

ゲームやコンピュータ等、一昔前の語り草

90年代半までのパソコンの機種差によるイメージ的なもの

今回は90年代の半ばまで主流であった国産PCを語ってみようと思います。

といっても御三家時代が終了し、単純にその後継機種へと移行しWindows95が出るまでの間に出ていたパソコンになります。

ご存知NECの誇る国民機。と言っても今のWindows世代の人達からすればなんのこっちゃって感じでしょう。今から考えるとありえませんが、当時は実に日本での個人パソコンシェアの90%近くあると言われ、まさにパソコン界のガリバーとまで言わしめていました。もともと98シリーズはゲームよりもビジネスユースをメインに売られていたパソコンです。

主に中期までは9801、中期以降は9821になります。9801時代はVMである程度の基礎を作り上げその後RシリーズとDシリーズで一気に普及。98シリーズでもゲームが出ていないわけではなく、88で出ていたゲームの大半は98でも発売されていました。ただ発売日が遅かったりしていて明確に差はあったのです。シミュレーションゲームのように思考時間がそのままCPU速度に依存するような一部ゲームは98版として発売していましたが、基本的にはゲームは88、その他総合で98という感じだったのです。

ただちょうどDシリーズ(DA・DS・DX)は今までメインで出していた88シリーズが斜陽していった時期と重なり、ビジネス機メインであった98シリーズに初めて標準でFM音源が搭載されたモデルでもあります。事実上このDシリーズからビジネスとホビーの両方へと路線変更したと言っていいでしょう。それまでの98シリーズはゲームと言うよりもビジネス色がかなりつよく、ゲームとしてのホビーユースは88シリーズと明確に差がありました。このDシリーズが出たのがちょうど80年代後半。実に88シリーズがちょうど斜陽になっていっていた時期でもあります。

その後は9821へとシフトチェンジ。Windows対応化として強化したバージョンとなります。ただ初期のMultiやA-MateはWindows対応にしてはスペックも厳しくむしろFM音源の強化がなされMS-DOSでの運用がかなり効率よく長らく最強の98ゲームマシンと言われました。その後はWindowsマシンへと変貌していくことになります。

そんな9801(及び9821)は90年代前半の最強ビジネス機でありゲーム機でした。88ではすでにゲームは出なくなっており、98を持っていればパソコンのゲームはほぼ全部プレイできたと言ってもいいでしょう。パソコンゲームをやりたい子どもたちからすればまさに理想のパソコンで90年代半ば前後でパソコン好きの友人はかならず何かしら98シリーズを持っていました。過去のゲームから今のゲームまでその時代のゲーム全てが出来たのです。ゲーム好きからすればマストアイテム。80年代後半からの90年代までの全ゲーム及び当時発売していたエロゲーはすべてプレイできる。しかも90年代半ば前後になると9801Dシリーズであれば1万円以下で買える。パソコンゲームをやるなら非常に嬉しい環境で買える状態になっていたものです。

当時9821AP2を購入しゲーム機として非常に楽しませてもらいました。

X68000はシャープの出したパソコンですが、ぶっちゃけて言えば超高級ファミコンと言ってもいいでしょう。出たのがちょうど87年とファミコンが過渡期でもあった時代。そんな時代にグラディウスを引っさげて突如として登場してきたスーパーパソコンでした。一言で言えばゲームのゲームによるゲームのためのパソコン。当時のアーケードゲームをどんどん移植していってゲーム好きなら買おうねという感じ。98や88の流れではなく、完全にアーケードゲーム移植という流れは当時のパソコン界隈からすれば非常に異色でもあり特に家庭用ゲームというよりはアーケードゲームを好むゲーマーに好まれていたパソコンでした。

当時のファミコンやその後のスーファミPCエンジンメガドライブでは実現できないアーケードゲームを片っ端から移植していて、ゲーマーからすれば夢の実現。夢を形にしてくれたパソコン=X68000というイメージが今でも強いです。パソコンゲームが好きなひとは1台目に98シリーズ、そしてアーケードゲームが好きな人は2台目にX68000を選んでいたものです。

こちらも90年代半ばになると2万円前後で購入できるようになったため、その時代であれば非常に安価で入手していた方も多いと思います。もちろん購入して夢を実現していた方も多かったと思います。自分もその一人でした。

富士通の77シリーズ及びFM-8シリーズから移行した16bitパソコンです。世界初のCD-ROM搭載パソコンでもあり、中身はIntelCPUを採用した98に似たような構成でした。CD-ROMを生かしたゲーム移植が多く、98のベタ移植+CD-DAと言った感じ。ただゲームメインと言うよりも教育方面での採用が多く、学校等のビジネス用途というよりは学問用での導入が多かったようです。

ゲーム面も98をベースとした移植からX68000の方向性にも手を付け、当時のアーケードゲーム移植までありました。ただとうしても器用貧乏という感じが否めなく、両方のいいとこ取りというよりも、だったら安くなった98とX68000を買えばいいじゃないの?という感じです。確かに89年発売で90年代半ばにもなるとすでに初代機の価格は1万弱になっており非常にオトクな価格でしたが、いかんせんゲームソフトが意外に数が少なく、それだったらより安くタマ数も多い98本体の中古に手が伸びると行った感じです。実際中古ゲームで遊ぶと考えた場合、TOWNSの中古ソフトはかなり数が少なく、98はもちろんX68000の中古の数以下な感じ。それでいてほとんどがその2機種とゲームはかぶっており、同時にTOWNSの高性能グラフィックは98用ゲームの移植では全く意味がなく、結局98のベタ移植的なものも多かったことがマイナスでした。CD-DA等の再生はあったものの、肝心の見た目が98と変わらなかったことはよろしくなかったです。

同様にX68000と競合していたアーケードゲームも決して悪くなかったのでづが、いかんせん相手が悪く、X68000はとにかくゲームに特化していたパソコンだったため、完成度に差が出ていました。TOWNSのメリットは後期マシンになるとCPUがアップグレードされていたため、CPUパワーによる強化は出来てましたが、どうしてもなんでもできるではなくどうにも中途半端というイメージは最後まで否めませんでした。

はっきり言ってパソコンらしいゲームであれば98、アーケードゲームであればX68000、どっちもとろうとしてどっちも取れなかったという印象です。優等生なキャラと言う感じでとんがった感じが無かったのが今ひとつだったのでは無いかと思います。そのせいか徹底も早く、Windows95が出る前には富士通はFM-Vへとシフトし、その後TOWNSは最終的にはFMV-TOWNSとなるものの収束していきます。もっとうまくマーケティングしていれば化けたかもしれませんが、いかんせんタイミングが悪過ぎたというのが一番でしょう。X68000の衝撃的なデビューをみると仕方なかったのかもしれませんが…。

自分もTOWNSはゲームとしての魅力が少なかったこともあり、購入はしませんでした。

 

といった感じです。とにかく90年代前半はNEC一強すぎる時代でした。なにもかも98シリーズからゲームが発売され、98持ってなければパソコンゲームは遊べないとまで言ってもいいでしょう。その後X68000やTOWNSの発売である程度は分散しましたが、それでも一部を覗いてまずは98を買ってから2台目でという方が多く、結局98は買っていたという方が多かったと思います。

他にもマック等もありましたが、コレに関しては当時あまり触れていなかったので語りません。マックワールドは正直よくわかんないので…。

ただ、80年代半ばからの88シリーズ、90年代前半の98シリーズとNECはこの世の春を満喫していたわけだけど、そんなNECも今や普通のパソコンメーカーの一つになってしまったことを考えると感慨深いものです。今の人達にNECが天下をとっていたパソコンに98シリーズがあったんだよ、と言っても絶対に信じてくれないでしょうねw